第2話 奈落

「うぁあああああああああああああああ!!」


 お父さん。お母さん。俺は死んだかも知れません。


 これは、2階層でモンスターが出ないので宝箱を探しているときの話。


「うぉおおおおお!!なんだこれは!!」


 宝探しをしている最中に金色のブレスレットを手に入れた。


「これは、高く売れるのでは!?これで、俺も大金持ちだぁあああ!!」


 いや、待てよ。これは、誰かの落としたブレスレットなのでは無いか?


 急に冷静になった。


 としたら、偽物の可能性が高いな。だけど、見た目がかっこいいので右腕に装着し再び宝箱探しを再開した。


 宝探し気分で歩いていると『フスーフスー』っと言う臭い風が俺の頭にかかる。なんだろう?っと思いながら、後ろを向いてみると牛のような原型を残したミノタウロスが後ろで立っていた。


 俺は、咄嗟に名刀月光を取り出しミノタウロスに向けるとミノタウロスが腕を振りかざし俺の剣を折った。


 そして、現在に至る。


「うぁああああ!!無理無理!!死ぬ死ぬ!!あんなのが、2階層にいるとかおかしいだろ!!もし、俺が死んだらここのダンジョン作ったやつにに文句言ってとっちめてやる!!」


 俺は全力で逃げる。


 ミノタウロスも、『フスー!!フスー!!』と言うか音を出しながら追いかけてくる。


 必死で走っていると、何か『カッチ』っと言う音がした。


「うぉおおおおお!!なんで、こんなところに落とし穴があるんだよおぉぉぉぉ!!」


 俺はトラップにハマった。


 トラップに気づいた時には、もう落下していた。


 ああ、これは。


 死んだな。


 俺は、あまり思い出のない学生生活がフィードバックしながら落ちていたのだが....


  次に目を覚ますと、レンガで出来て、暖炉がある洋風の家の中で俺は布団の中でで眠っていた。


『あれ、ここは。ああ、俺は死んでしまったのだろう。次に生まれ変われるならチヤホヤされる美少女に生まれ変わりたいな。』


 再び、眠りにつこうとしすると、どこからか女性の声がした。


「!?」

「あなたは、まだ死んでいませんよ。」


どこからか、聞こえる綺麗な女性の声。


まさか、女神様!?


そう思い、辺りを見回すと羽の生えた女性が椅子の上に座っていた。


「ねえ、そのブレスレット返してくれない?」

「はぁ?」

「だから、そのブレスレット返してよ。そのブレスレットがなくちゃ私がこのダンジョンを管理出来ないじゃない。」

「これを?」


俺は、腕につけたブレスレットを外そうとしても、何故か取れなくなっていた。


「取れないんだけど?」

「はぁあ?そんなわけないでしょ!?」

「いや、だから取れないんだって」

「え!?嘘でしょ!?」


女の子も、俺の腕についたブレスレットをつかみ無理やり外そうとするが取れない。


むしろ、腕が取れそうなほど痛い!!


「痛いわ!!」


俺は、腕を振りブレスレットを掴んでいた女の子を振り外した。


「う、嘘よ!!私は、ダンジョンマスターよ!!管理者なのよ!!」


絶望している様子だが、俺は怒りをふつふつと沸かしていた。


「お前!!ダンジョンの難度設定間違えてるだろ!!2階層でミノタウロスっておかしすぎるだろ!!」

「だ、だって、腕輪無くしてダンジョンのモンスターを操れなくなったから仕方ないじゃない!!そのブレスレットがなくちゃ、私は....私は....わーん!!」


急に泣き始めた。美人な顔が台無しだ。


しかし、このブレスレットがダンジョンマスター的なことが出来るのだろう。


って、ことは!!


俺がこのモンスターのドロップ率とかアイテムを出して売りに行けば大金持ち間違いなしじゃないか!!


うひょ〜!!


っと、喜んでいた。


「で、これは、どうやって使うんだ?」

「知らないわよ。グスン.... なんとなく、私も使ってたから。分かるわけないでしょ」

「なんだ。使えないな〜こんなブレスレット早く外してギルドで売ってやるううう!! 取れねえ!!」

「もう無理よ。貴方は、ダンジョンに認められたのよ。そして、私も終わりよ....」


 もう、取れない事は仕方が無いので俺は家に帰る事にした。


「なあ、俺は帰りたいんだが、どうやって帰るんだよ?」

「そんなの、下から上に上がって行けば外に出れるわよ。」

「ここ何階層なんだよ。」

「100階層よ。」

「はぁああああ!!無理だろ。スライムがレベル99の勇者に挑むくらい無理だろ!!ふざけんなよ!?」


 いや、まてよ....2階層から100階層に落ちたけど無傷な俺は最強なのでは。


「知らないわよ!!私が無くしたブレスレットを持っているのが悪いのでしょ!!それに、そのブレスレットがなくちゃ私は、このダンジョンで敵として排除されちゃうのよ!!どうしてくれるのよ!!責任とってよ!!責任!!」


 鼻水を垂らしながら胸ぐらを掴まれて、左右に振られていた。


「おいおいおい、やめろ。俺は帰って家に引きこもりたいんだよ!!」

「嫌よ!!」


 そんなやり取りをしていると、俺がつけているブレスレットが光った。

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