平成6年生まれ成人男性の日記

第1話 大人になる

　最近ドリップコーヒーにハマっています。コーヒーは豆によって味や香りが違い、同じ豆でも焙煎度によって味わいが異なり、その違いを感じるのが楽しいです。30を手前にしてコーヒーを嗜めるようになり、私も少し大人になったような気分がしてウキウキです。

　行きつけのコーヒー屋さんがありそこでコーヒー豆を購入しています。そのコーヒー屋さんは駅構内の商業施設内にあり、10畳ほどの小さなスペースに店員二名で営業しています。私の仕事は土日休みで、いつも休日にコーヒー豆を買いに行きます。ここ4ヶ月ほどそのコーヒー屋さんに通っているのですが、その店でいつも気になっていることがあります。それは店員が行くたびに毎回違うことです。私が見た限りではそれほど店内は混雑しておらず、レジが並ぶことも稀であり忙しい様子もありません。

　試しにネットで当該店舗の求人情報を検索してみましたが一件もヒットしませんでした。こうなるとますます不思議になります。人が変わるということは辞める人がいるからであり、そして替わりの人材を採用しているはずです。これだけの人が辞めるからには相応の理由があると勘繰ってしまいます。

　店員からコーヒーを受け取る際の笑顔の裏には、のぞいてはいけない何かがあるのでは。そんな妄想を膨らませながら、こちらも笑顔でコーヒーを受け取る。大人になるとは笑顔の裏に本音を隠して生きていくことなのかも知れません。