結局俺から見たらNTRれてるじゃん
クマとシオマネキ
誰とでも上手くいかないんじゃない、その女と上手くいかないだけ
「ごめんね、やっぱりサトルとはこれ以上付き合えないよ」
「そっか、何となく気付いてたよ、こっちこそごめんね、色々と」
今日…20歳を超えた6月のジメジメした日…高校卒業してすぐから付き合っていた先輩、軽音楽部のOGで4歳年上の女性、アカネさんにフラレた。
俺、木山悟と神山茜さんは今日で付き合って、2年とちょっと…
ウチの軽音楽部は、学校に2つある音楽室の一つをスタジオ代わりに使っているだけ、だから先輩達もスタジオ代わりに使いにくる。
その時に同じ楽器、ベースをやっていて、仲良くなった先輩。
当時は先を見てない人生いかに面白おかしく生きるかで生活している人で、4歳上となると輝いて見えたものだ。
付き合うきっかけは…俺が幼馴染の女の子に好きな人が出来たから。
何とも情けない話だが、俺は高校3年当時、幼馴染の女の子にフラレた。
『試しに私と付き合ってみる?サトル面白いから好きだよ』
それからバイク通学をしていた、フラレた幼馴染と一切会いたくなかったから。
見つかったら謹慎だけど幼馴染と、とにかく会いたくなかった。
帰りにはアカネさんが学校に来て、そのままバイクで遊びに行くなんて事もあった。
『このままライブ見に行こうよ!制服だけどいいっしょ!』
でも、楽しいのは高校3年の時だけだったな…
卒業してからはバイクでツーリング行ったり、好きなバンドのライブやスタジオでバンド練習してみたり…極力俺がアカネさんのスケジュールに合わせて動いた。
何故なら俺は高卒でフリーターで、アカネさんは大卒、有名な企業の正社員で働く社会人だったから。
そんな毎日の中で、フリーダムだったアカネさんが徐々に社会人とは何か?みたいな事を俺に言って来るようになった。
『将来の事考えてる?』『その仕事平気?』とか説教が増えてきた。
結果、何回か別れ話になったがどちらかが折れて事なきを得て…無いな。確実に冷めて行ってた。
アカネさんの実家に行ったら『いつまであのボンクラと付き合っているのか?』とトイレ行っている間に言われた。
アカネさんは完全にロックンロールから脱却していた。
更に、別にアカネさんのヒモでも無いのに立場というか、完全に上下関係が出来ていた。
アカネさんの周りには大卒正社員の全うな方が沢山いた様だ。
だからこそ俺にイラついたんだろう。
それでも俺は『もうちょっと待って、何とか頑張るから』と粘った。
しかし関係がどんどん悪化していく。
まず1つは、アカネさんの友達や会社の人に会いたくなかった。
何故なら公開説教をするからだ。
それにいきなり飲み会やらに来いと言われて、誰も知らない所に入って、全員知らない先輩の友達or会社の同僚からボロクソ言われるのはマジ勘弁だから。
そしてトドメ、会社の2年後輩に告白されたそうだ。それもプロポーズらしい、指輪を持って来たとか。
そんな行動をされる時点で職場で俺の扱いはお察しだろう。
更にそれを説教の時に絡めて言うから俺も限界だった。
成人式のある年明けぐらいには、やり取りは電話だけになり、会話も説教と私はモテる話にばかりで『あー』『あー』とか生返事しかしなかった。
聞いてるか?と、言われたら『付き合えば良いんじゃない』って返したら喧嘩になる。
それを成人式後ぐらいから6ヶ月間、繰り返していたら、今公園でフラレている。
『それじゃあ頑張ってね、本当にお別れ』
何を頑張るんだよ俺は…と思ったが社交辞令を返す。
『そちらこそ頑張ってな。じゃ消すわ、バイバイ』
俺はアカネさんの眼の前で携帯を折った。
『そういう所が子供みたいでカッコ悪い、携帯は悪くないじゃん』
幼馴染の時は携帯を壁に投げつけて壊したから、まだマシかと思ったが…俺はまだまだ子供らしい。
そう、幼馴染にフラレてから…あの付き合って別れたら俺は相手が死んだ事にしてる。
だから連絡手段を消して、脳内からも消す。
後から元カノの情報が入ってくるのが苦痛だからだ。
正直に言う、未練があるからだよ。
いつも未練があるから辛いんだよ。
いつだって生殺しみたいなのが嫌だから。
だってよ、好きだったんだ、愛していたから顔も見たくないんだよ
世の中には別れても友達関係を維持しようとしてくる奴がいるが、アレは余程特殊な関係か、殆どはフッた側のエゴだ。
キープしようってんならそこまでの努力や、愛情はどこへ行くのか?
好きな奴が別の奴と付き合ったなんて聞きたくねぇんだよこっちはよ…
なんて思っても存在するし耳に入ってくる。
例えばたまたまアカネさんを知ってる同級生の友達と久しぶりに会った時…
『お前結婚すんの?ブログに彼女の結婚式出てたよ』
『いや、一ヶ月前に別れたよ』
『え?子供出来てるのに?』
『は?付き合って1年半以降、つまり1年ぐらいしてないのに?』
『あ…察し』『口に出して察しって言うなお前』
「てなもんだよ…畜生が!アイツ死ねぇええええ!!!」
俺は飲み屋で大暴れ、声だけデカい。
夏の暑い日に居酒屋で愚痴る。
目の前にいるのは高校時代の同級生、真田と吉田さん。
2人は多分、結婚するぐらい上手く行ってる2人だ。吉田さんが、真田に惚れまくりだったが今は逆らしい。
真田は元から友達だが、吉田さんは元々幼馴染の友達だった。
俺が幼馴染と別れた時に、俺ではなく幼馴染の方に本気で怒ってくれたありがたい人だ。
「どうせ俺はボンクラですよぉ〜!」
「ウザい酔い方だなぁ…」
俺成人式以来、久しぶりにあった仲の良お友達と気を良く飲んでいた時にソイツと遭遇した。
俺は酔いがそこまで回ってないがなんせ気分が悪い。多分、黙ってたら鬱になりそうなので怒られる覚悟で座敷席の隣のグループに絡んだ。
「なぁお隣さん、聞いてくれよ!?世の中ってのはそんなに金と仕事なのかい!?嫌になっちゃうよぉ!俺は…いや、ウザいならウザいって言って良いですよ?」
だったら聞くなよと思うがまぁそこはそれで…
「分かるッ!!明日から行きたく無いよもぉ!本当に隕石が会社にピンポイントで落ちないかなって思うよ!?」
「そうだよなぁ!?どいつもこいつも男男男で付き合ったら金金金ってふざけやがって!俺は…」
肩組んで言ってる途中で違和感があった。
「そうよ!好き勝手言ってさ!こっちだって失敗したくてしてるんじゃないっつーの!男と付き合うな言うなら辞めてやるわあんな事務所!」
だが…俺は止まらなかった…酒だ…きっと酒のせい…
「だったら辞めちまえよ事務所なんか!後から思ってたのと違ったなんて当たり前だろうがよ!夢ばっかり見やがって!男との距離感覚バグってんじゃねーよ!」
「辞められるなら辞めてるわ!家賃もあれば生活があんのよ!安月給と歩合とメンテで全部消えるんだよぉ!」
アイツとは別れたと聞いて…卒業式の日に親伝に連絡先渡されたけどその場で捨てた。
次来たら二度と顔を見せるなと言って。
そしてすぐ家を出た、会いたくないから。
話には聞いてたんだけどまだ、やってたんだな…モデル事務所のコンパニオンとか言うの…しかも飲んでる奴3人…全員男じゃん…相変わらずだな。
「仕方ないじゃん!友達だから仲良くして何が悪いのよ!酔って楽しくなったらそういう事にもなっちゃうの!だったらもっと来いよ!そもそもサトルの度胸がな……あ……………」
「ちょ…木山く…」
吉田さん!そんな目で見ないでおくれ、気付いているよ。
俺が肩を組んでいる相手が…君がキレ散らかした相手で…
俺に二股くらわして絶交されて、やっぱり違ったって騒いで寄りを戻そうとして友達にキレられ、短大で黙ってコンパニオンの仕事してたのバレて親から短大出たら家から出てけって追い出された…等の情報が近所に住んでいたせいで全部筒抜けな頭の弱い幼馴染…
木村楓だという事を…てか、カエデも気付いたな、俺に。
あぁ嫌だ…これは結局どっちも悪くない?って言われる様な俺の愚痴みたいな話だ。
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