第18話 リナの決意②
ひとまず私たちは来賓室まで移動し、オスカル殿下に対して私とリナが向かい合わせになる形でソファーに腰掛けた。
「…それで、まず役職はどうなったのだ。」
「
「ぐ…やはりそうか」
オスカル殿下は嫌そうな納得したような微妙な顔を浮かべる。
「おや、あまり驚かないのですね?」
「いや、改めて他の令嬢と比較してみて、お前の賢さは群を抜いていたからな…」
「お褒めの言葉ありがとうございます。」
オスカル殿下が素直に人を褒めるなんてちょっと気色悪…いや、そんなことないよ、うん。
「しかし、そうなるとやはり後宮の仕事の方が…」
「これからどうなさるおつもりですか?」
「それが皆目見当もつかん…婚約しなくとも研究員と後宮の仕事を兼任できたりしないのか?」
「私はこれから研究所の寮で暮らすことになりますし、かなり忙しいらしいですので、まず無理でしょうね。」
「そうか…」
オスカル殿下はそのまま黙ってしまった。仕方ない、助けてあげよう。
…と言っても、助け船を出すのは私じゃなくてリナだけど。
「殿下、リナがそのことについてお話があるようですよ?」
「リナが…?どうしたリナ、何か気になることがあるのか?」
「はい、あの…」
リナは意を決したように話し始める。
「私に、後宮でのお仕事を任せてはいただけないでしょうか!」
オスカル殿下は驚いた表情を浮かべる。
「…いやいや、無理だろう!だって君は金の勘定はからっきしできないではないか。それでは整備の方はともかく経理の仕事などとても…」
「確かに、今はほとんど何もできません…でも、これから頑張って勉強して、できるようになりますから、ぜひ私にやらせてください!」
「し、しかし…」
「…宦官制度が廃止になったと言っても、これ以上増やさないというだけで、廃止時点で既に宦官になっていた方達は働けるのでしょう?でしたら今すぐ後継人が必要という訳でもないですし、1度リナに挑戦して貰ってもいいのではないですか?」
「それはそうだが…リナ、君が無理をする必要はない。このことは私がどうにかして…」
「いいえ違います、無理なんかしていません!ただ…オスカル殿下にはなんでもしていただいてばかりなので、私もオスカル殿下のお役に立ちたいのです!」
「リナ……」
どうだろ…?
「…わかった、ではリナに任せよう。だがもしできそうにないとなったらすぐに言うのだぞ。」
「…っありがとうございます!!」
めでたしめでたし、と。
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