第14話 入所初日

入所テストから数日、私は手紙で呼び出されて、魔法研究所へと来ていた。


手紙によると、ある程度役職は決まったけど、最終決定を話し合って決めたいから1度足を運んで欲しいとのことだった。


門で待ってくれていたジョセフさんについて行くと、テストのときとは違う建物へと案内された。


「失礼します…」

「よお、来たか!」


書類が山積みになった机がたくさん並んでいる部屋に入ると、暗い赤の髪と瞳をもつガタイのいい中年の男性に声をかけられた。


「では、ここからはこのダグラスさんから説明を受けてください。」

「わかりました。」


そう言うとジョセフさんはどこかに行ってしまった。この人がダグラスさんかな?


「改めて、俺は総合魔法部門リーダーのダグラス・ガルシアだ。これからよろしく頼む!」

「はい、よろしくお願いします。」


なんだか豪快な人だな~

あれ、総合魔法部門?ガルシア?


「…あの、2つ質問よろしいですか?」

「おう、もちろんいいぞ」

「えっとまず、ガルシアってガルシア伯爵の…?」


ガルシア伯爵はお父様直属の部下で、皇帝の宰相補佐を務めている。


「ああそうだ、今のガルシア伯爵は俺の兄貴だな。つっても俺自身は早々に家出てこっち来ちまったから今は貴族としての権限はほとんどねえけど」

「なるほど、やっぱりそうなんですね」

「それで、もう1つの質問は?」

「あ、えっとダグラスさんは総合魔法部門って仰ってましたけど、私の配属ってそこになったんですか?」

「ああ、それは今から説明しようと思ってたところだ。」


ここから私は色々と説明を受けた。要約すると、私はとりあえず総合魔法部門の研究員見習いとして働いて、もし他に異動したくなったら申告すればなるべく要望は受け入れてくれる、との事だった。


「ところで、そもそもの質問なんですが…総合魔法部門って何をするところなんですか?」

「おっと、肝心なことを忘れてたな。総合魔法部門うちは、一言で言えば何でも屋だ。」

「何でも屋?」

「ああ、他の3部門のどれにも当てはまらないようなこと全般を請け負ってるからな。狭く深くやる他の部門と対照的に、浅く広くやるのがこの部門だ。」

「なるほど…」

「それでどうだ?うちに来るか?」


もっとしっかり探せばやりたいことが見つかるかもしれないけど、とりあえず総合魔法部門で色々知っていくのは悪くない選択だと思う。そもそも今までは魔法研究所に入るのが目的になってて、入ってから何するかはあんまり考えてなかったし。


「はい、改めてよろしくお願いします」

「おう!それじゃあ次にどの課で働くか決めなきゃいけないんだが…」


さすがに帝国最大の研究所なだけあって、部門の中でもさらに色々分かれているみたいだ。


そのとき、後ろの扉が開く音がした。


「お、シェリー、数日ぶり!」


この呼び方は…

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