【MN】なんの才能も無い世界一のバイオリニストは転生しても音楽で生きたい feat.トオル&ネーシャ
音無メロディー
皆様、もうすぐ公演開始です
第0楽章♬ 「プロローグ」
まさかコンサート中に死んでしまうとはね。最後まで演奏家として生きて、そのまま死ぬというのは不幸か、それとも幸運だろうか?
その問いの答えは分からない……だが、「異世界」とやらに転生させてもらえるのは幸運だった。これで俺はまだ音楽を続けられる、人を救い続けられる。
異世界に何があるか詳しいことは知らないが、この世界とは違った文化、様式、音楽が存在するのだろう。例えば、「腕が4本ある魔物のドラマー」や「エルフの風を活かした金管楽器の大合奏」「炎スキルでのド派手な演出」……ワクワクしてきたかな? 俺も正直不安はあるが、楽しみな気持ちもある。
それで突然だが、少しこの【MN】の説明をさせてもらうよ。
【MN】というのは「ミュージックノベル」という意味、音楽を目で聴くんだ。
そして今から始まるのはステージ……少し普通のステージと違うところは、楽器もなければ、奏者も、指揮者もいないこと。
君たち観客の独占ライブ……いや、ここでは読者と言った方がいいのかな。
……それも少し違うな、君達は読者であり観客であり、聴衆だから。
もう一つ君たちが気になっているであろうことに答えよう、それはなぜ「0話」じゃなく、「第0楽章♬」なのかということだ。
第~楽章♬となっている話は「演奏パート」。その名の通りこの話では演奏がメインで、その様子が描写される。主催者が一番力を入れているパートであり、音楽をメインとするこのステージで一番の見せ所だ。気になる人は一話を飛ばして先に第二楽章♬を聴いてみてほしい。
何? この話、第0楽章では演奏なんてしてないだろって? ……ははっ、何を言っているんだ、「もう演奏は始まっている」じゃないか。確かに音は一つも鳴っていない……だが、無音の曲というのもこの世には存在する。始まりの音、『プロローグ(序奏)』が。
少し長く話してしまった、演奏前のMCにしては張り切りすぎたね。
……最後に一つだけ、演奏中はご清聴願いたい。
そろそろ準備はいいかな、演奏を始めよう。
開演だ
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