第14話 一行怪談14
深夜、眠る弟のつむじにストローを差すしわくちゃの手を見てからというもの、やんちゃすぎる性格の弟がさらに手をつけられなくなった。
飼い犬が産んだ仔犬全ての尻尾の先が二つに分かれているのが見え、数十年経った今も仔犬たちは生まれた時と変わらない姿で生きている。
律儀な性格の彼は、彼が殺した人間を一緒に埋めた私への礼を毎年送ってくれるのだが、そんな彼の行動で私の罪がばれないか冷や冷やしている。
その吸血鬼は薔薇の香りがする血液を求めて数多くの処女を失血死させてきたが、彼女が求める血の持ち主は彼女の腹に宿っている。
コーンスープの中にクルトンが入っていると喜んだのも束の間、よく見ると細かく砕かれたいくつもの骨だった。
この生首も臭ってくるようになったので、そろそろ新しい花瓶を見繕ってこなければならないと考え、生首をビニール袋に入れてゴミ箱に捨てた。
うちのゴミ箱は血のついたティッシュなどは喜んで入れさせてくれるのだが、生ゴミは入れた途端に吐き出してしまうので、新しいものを買いたい。
数年前の夏休みの最終日から、実家の柱の前で立つ子どもの頃の私の残像は今でも色濃く残り、私を含む家族に笑顔を見せている。
そろそろ暑くなってきたな、とこたつに入れていた足を引き抜くと、輪郭が少し溶けた足がズボンから染み出していた。
逃げようとする姉に馬乗りになった男が姉の首に手をかける一連の様子が、今日も実家のテレビから絶え間なく流されている。
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