このこ猫のこ この猫こねこ

白火取

第1話 力尽きた。

混ざりものは仲間外れにされがち。

それはその世界でも変わらなかった。


その世界では、猫と人は同じ大きさだった。

それでも良い隣人であることは変わらなかった。


意思の疎通はできたし、種族の壁を超えた愛が生まれることもある。

それでも愛だけでは生きていけないことは変わらなかった。


肉食と雑食の同棲は大変で。

狩猟種と農耕種の同棲は大変でもなくて。

毛ものと毛なし者の違いは微妙に面倒で。

睡眠時間の違いは大したことなくて。


そんな感じで譲り合い、落とし所を見つけて、少しずつ形になる生活。

やっていけそうと思ったけれど、思った以上に子育ては壁だった。


その子は人の形で髪と耳が猫。指はふさふさで体に毛はなくて、尻尾があった。

まあつまり可愛い可愛い猫の亜人だった。


人のまじりものの成長は遅い。

四つ足で走れず獲物の匂いがわからない子供に狩りは酷だった。

猫のまじりものの睡眠は長い。

徒党を組んでコツコツと植物を育てるには時間が合わなかった。

それでも体の成長には肉と植物が必要だった。


猫は言った。

「この子は一人で生きていけるだろうか。獲物を見つけてあげなくては。」

人は言った。

「この子にはパートナーが必要だ。伴侶を見つけてあげなくては。」




次回、婚約破棄。(嘘

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