第79話・決戦開始3
イベントの戦闘は残り僅かになった時、アンデッドとして蘇ったドラゴンは腐肉を落としながら船にしがみつき、骨の身をさらして咆哮を上げた。
だがそれを灰燼へと帰す紅蓮の炎が舞い上がる。ガーネットの一撃は火魔法の中でトップレベル。最大火力の一撃が悲鳴を上げたとき、アッシュは駆け抜ける。
「ラストアタックいただき!」
剣士、それもダメージを叩き出せる両手剣の使い手たる彼の一撃は重く、ゲージのほとんどを吹き飛ばした。
「ちっ、仕留めそこなった!」
それと共に放たれるブレスに、船が揺れる。だがそんな中、とあることを使用としているプレイヤーがいた。意図に気づいたのはガーネットだった。
「船にしがみつけ!」
その瞬間、山頂へと激突する巨大ボスモンスター。山頂の雪どころは岩にアタックをかましてゲージが削れる。それと共に時間ができた。ガーネットはノート特性の火力マシマシ杖を構え、最大火力の魔法を叩きつけた。
悲鳴を上げたボスドラゴンはポリゴンへと変わり、その姿を消滅させた。それに一同は息を吐き、喝さいする。
「まだ船内の戦闘は」
「ここを初め、ほとんど終わってるな………」
「ああ」
そして最後のモンスターはイヴを奪おうとする暴君。その一撃をかいくぐり、斬撃を浴びせるのは黒い猫。
「フー!」
トップスピードでバフを重ねていき、ダメージを手数で作り出す。だがその一撃は一つ一つ重く、強かった。
次々にゲージが大きく減っていき、悲鳴のような雄叫びを上げるアンデッド。
【【【この私が!ただの平民ごときに!】】】
黒猫がその場からシュバっと飛びのいた。瞬間、一斉に放てれる投擲武器達。どれもこれも一撃がかなり高いダメージを作るため、一回の攻撃にすべてを集中した武器達であった。
ゲージが吹き飛ぶ。瞬間、影は一気に近づいた。
「双剣術アーツ………」
七つの刃、七の剣を振るえるセブンスソード。神聖特化、対アンデッド片手剣を構え、それは踊るようにきらめいた。
「乱舞!」
こと細かい斬撃の踊りが全てクリティカルヒットした瞬間、ゲージは吹き飛び、オーバーキルを叩き込む。
悲鳴を上げて光と共に爆発するアンデッド。それに黒猫は静かに剣を構えながら勝利として天へと掲げた。
「むふーやはりもう少しダメが欲しい」
かなり贅沢なことを言いつつ、満足という顔で戦闘を終えて、このイベントの最後の戦いは全て、プレイヤーの勝利で幕を閉じた。
◇◆◇◆◇
イベントのすべてが終わり、プロジェクトイヴである戦闘人形。イヴが目を覚ます。
ノートが先頭に立ち、多くのプレイヤーが見守る中、イヴを奪いに来たネオなんたらワイルドの連中を全員が弾きだし、船から空へ叩き落とすということをしているのだが、それはまあいい。
ポットから出てきたイブは、その容姿にプレイヤーはおおっとざわめく。
可愛らしいドレスを着込む、金髪の少女。その容姿に早速ファンクランを作ると決めたプレイヤーがいるほどであり、その子は開幕、呟いた。
「にゃー」
にゃーである。それにはプレイヤーは一斉に黒猫を見た。
「にゃー」
黒猫は気にせず挨拶を返す。これはいったいどういうことだ?
「黒猫さん。あなたに守られたおかげで私は生まれることができたにゃ。わたしは今日からこの船を守り、船にいきる者達を導くことを決めましたにゃ」
語尾のにゃはなに!?
「そうかそうか、がんばるんだぞ」
「にゃ」
黒猫は気にしないが、周りのメンバーはざわめいている。
こうしてイベントとしてプレイヤーは巨大な施設、ダンジョンを手に入れることができた。今後ここを利用する際の取り決めなどを決めて、イヴに任せることになった。
セブンスソードは両手剣も作れると知り、アッシュがノートに頼み込んできた。ノートは楽しいしいいやと思い、了承すると共に黒猫の新たなセブンスソード作りもすることに。他のプレイヤーもレシピ解読をし出し、レシピを確保して武器作りするつもりだ。
こうしてイベントは終了して、それなりの順位、ランキングを見る。ポイントは黒猫が高くて、ノートもかなり高い位置にいる。セブンスの作成、作成方法の復活などがポイントに入っている。
イベント報酬にポイントが振り分けられ、そのポイントでアイテムを交換できるらしい。たいていの人はオーブを取り、スロットを開けるようだ。
「セブンス作りに必要なスキルが無いか調べないと」
「ノートがんばれ」
「がんばるにゃー」
しばらくして有志により、イヴにネコミミをプレゼント。猫娘として人気キャラへと入る。運営は裏でこんな子になる予定なかったのにと泣き言がインタビューに載るのだが、それはご愛敬。一応は人気キャラクターとして熱を持つから、これはこれでいいのだ。
こうしてイベントが終わり、ザ・ネオニューワイルドとかいう一部のプレイヤー以外は満足のいく結果になり、新たに生産職に、新素材が現れて阿鼻叫喚。まだまだこのゲームは始まったばかり、まだまだやり込み要素を作り出しながら、このゲームは続いていくのであった。
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