第64話・黒猫の装備

 やはりというか、運営はとことんやり込み要素を用意しているようだ。まさか【金属糸作成スキル】と【金属布作成スキル】が出て来た。これにはダイヤは悲鳴を上げた。いまから一から、フルログインせずに並行して仕事してあげるのは難しいらしい。発掘で宝石を見つけるのに苦労している。


 宝石の谷に行ければいいのだから、それもできるようにやっているため、かなり苦労しているようだ。


 だが分かったことがある。ダイヤのexスキルは、これらに莫大なる恩恵を与える。強力な装備はできたからだ。これで専門のスキルがあれば、より強力な装備ができるだろう。


 自分はスキル上げに集中して、テイムモンスター達と共に働いていた。そしてついに黒猫が帰還する。


「やったぜ」


 疲れ切った顔だが、かなりの素材を持って来た。レシピ通りに作るもよし、アレンジして強化するのも良しだ。


 とりあえずデザインセンスが無い方だが、丁寧にフル装備を作ることにした。


 黒猫はスピード重視のスタイル。片手剣×2、ライトアーマー系、ガントレット系統orブレスレット系統、スカートorズボン、レッグorブーツ。その他アクセサリーで色々作ろうか。


 メインになるのは宝石の谷第二エリアで手に入る宝石の原石を利用、宝石の布、現環境最高金属、金属の布を利用する。


 頭にはフード付きポンチョ、黒猫っぽく、軽装の剣士であり、スピードと魔法重視。メインは攻撃、攻撃属性は無属性。


 無属性で作るのは大変だが、かなりレベルの高い装備を作れるようになってきたところ。


「これどうや~?」


 リファが新しい【宇宙魔銀煌】というアイテムを持って来た。なんか知らないがログを確認していたら、新しいスキル【宇宙魔法スキル】がある。習得条件は神聖魔法と暗黒魔法が下級がMAXになったときに覚えたらしい。


 失敗、できれば渡したい性能を考えるとまだまだ下の装備を作り続けて、暗黒魔法がかなり上がったらしい。この力でより良いものを、こうして作り出したのは、自分が作った中で最高品に入る一品。


「どうだ!」


「………」


 黒猫は目を見開き、装備品を見てただ一言呟く。


「神装備キターーーーーーッ!!」


 夜空の黒猫ポンチョ、煌銀の軽装鎧、煌空のキャロット、煌めきのオペラグローブ、煌黒猫のレッグブーツ。


 剣は『コスモドラゴニックソード』と『ゾディアックソード』の二振りは、完璧に仕上げたぞ。


「すっげえー!最高の一品! こんなのオーダーメイドで出ていい能力してねえ!」


「ドッカンさん達からさすがと言われ、これで大会していたら1位に並んでたと言われたからね」


「さ、さすがですね。私も驚きました」


 ガーネットも装備品に付いた特殊能力の他に、装備することで上がるステータスにも驚きながら、これでも運が良い方だと説明する。


「シズクの効果を使って、無理やり大成功を引き当てて作り出したから、もう少し設備、レベル、スキルがあれば盛れると思う」


「これで!?」


「さすがに冗談ですよね?」


 首を振る。さすがに冗談ではない。


 もう少し金属を糸にする技術が高ければ、宝石を糸にする技術が高ければ。それら糸を巧みに合わせて使い、ルーンや紋章、モチーフを刻みながら意味を与える作業の研究。


 まさにその辺りをもっと詰めたいと思う。施設ももう少し良いのがあれば、より良いものが作れるだろう。


「ここまで性能を上げると、装備条件も付いてきたしね」


 黒猫は問題ないのだが、これらの装備は装備する側のステータスをある程度要求する。まあ当然だろう。これらを装備すればレベル1で草大将くらいは軽く倒せるだろう。


 黒猫は全て装備することで、気分良く、ウキウキした顔で喜んでいた。


「さすがです、金属も合わせた装備品、奥が深い。私も装備職人として見過ごせません」


 やる気を見せるダイヤ。今調整に入り、もうすぐ宝石の谷へと行けるくらいだ。


 この頃になると、プレイヤー達も何人か宝石の谷へ迎えるようになり、より良い物を集めたり、装備品を欲していたりする。


 こちらとしても装備作りに素材、資金が一気に無くなったから、お金を作らないといけない。


 ちなみにこれらの資金はドラゴン素材を全て渡しても払わないといけないと言って、黒猫は資金不足になるくらい支払った。


「問題は失敗作というか、これよりも少し劣っていたり、黒猫の装備条件が合わなかった装備だったりするものをどう売るか」


「ドラゴン素材を使ってますし、限定にして売りに出せばいいと思いますよ」


「だな。問題になりそうな点を考えてから売りに出すが、売る事態は問題ない。むしろ黒猫が宝石の谷へ入るのを見られているから、その厳選があるんじゃないかと噂になってる」


「だね。少し流さないと厄介な奴が現れると思う」


 というわけで、数品選んで売りに出そう。実はガーネット達のは揃えたりした方が良いと思い、ダイヤと共に作ろうと思う。というわけでガーネット達は装備を選ばず、売りに出すことに。


 それが騒ぎになるがいつものこと。いまは一仕事して満足だ。

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