第39話・第2イベント:妖精の宝石

 いろんな人の熱意が交差する中、自分はいまのところ無事です。


 ガチ勢、トップ勢、廃人勢の人は属性武器の厳選をやって欲しいという欲が出始めている。とりあえず持ち込まれた素材を変化させて渡している。


 それでもみんなで使う復興素材も出させているため、頻度は低いんだけど、熱を上げる人はちらほら。


「耐久伸びると思う?」


「ドワーフ集落の鉱石使って作ってもらえると少し上がるな。組み合わせだが研究中らしい」


「これがMAXだと思うんだけど、もう少し上狙えないかなー」


 その両手斧が最大で良いと思うんだけど、ドワーフ集落の鉱石が合金だからな。まだ研究できるかもしれない。とりあえずみんな、現段階のMAX値の性能武器や装備を求めだしている。黒猫がそうだ。


「カースアント系の素材持って来たぜ」


「うん。ありがとう」


「まだいるなら狩って来る」


「種は探してる?」


「ボスっぽいの見つけたから、ガーネット達と共に狩る」


 そして周回するんだよね。鉱石を発掘するドワーフ集落傍にある洞窟でもエリアボスが発見されている。マーマン集落では湖自体にボスがいるそうだ。


 だけど以外にも自分には時間が無い。素材管理、食料調達、調理などに駆り出されている。メンバーが生産できる子が多いからね。メリュジーヌの面倒も見ないといけないし。


 村に残るという妖精さんも出始めた。ブラウニー達の中でだいぶ育った子や、新しい親がそうらしい。別の人んとこに出向く子もいるし、突然現れたブラウニー一家もいる。その管理を任されて、しっかりしているところだ。


「聖牛の子供もらっていいんですか?!」


「大事に育ててください。聖水をよく飲むのでその苦労も考えてくださいね」


「はい、ありがとうございます」


 というプレイヤーや、シルクワームと友誼を結べた人も多数いる。ダイヤの方はパピヨンクイーンという、かなり進化した種族と友誼を結べたところだ。


 リファもかなり性能が上がったらしい。妖精のデミグラスソース以外にも貴金属と宝石を作り出す。妖精のアメジストというのが手に入った。


 新素材やアイテムが出てきて、研究と使い方の研究が入り、困ったことが起きた。


「んー『誠実のアメジストペンダント』か」


 出来上がったのはかなり高価なアイテム、品質もかなり高めにしたものを使い、自分が丁寧に作ったペンダントだ。希少な石も使い、水晶で作られたチェーンを使ったアクセなんだが、なかなか美術点は高そうだ。性能も悪くない。


 だが一つの項目がこれは取り合いが起きるぞという仕様である。それはステータスは多少だが強化するだけでなく、サーヴァント強化並びレギオン個体数+1という、召喚系魔法を強化する品物だ。


 レシピがある。これより高い品物も作れるだろうが、それはそれ。いまそれが欲しいとなってしまったため、妖精集落だけ一回サブイベントが起きた。食料と素材提供量にポイントを付けて、時間内に持って来た人に渡すという内容だ。この時ばかり、別の集落からも人が集まった。


さすがにプレイヤー全員ではない。召喚系魔法を使用してのビルドを目指す者や、召喚系で遊ぶプレイヤーだけだろう。それか後でお金に替えようとするプレイヤーらしい。


「最悪は後で金に換えるプレイヤーに取られても良い。ともかく頑張るぞ!」


「とりあえずクラン協力は無しです。1パーティだけでお願いしますねー」


 この時ばかり『宝石箱』は裏方に回った。参加するパーティはガーネット達率いる配信者パーティのみ。数で『動物愛護会』がばらけて参加、少しだけ『聖女騎士団』と『傭兵部隊』も多数パーティで参加している。


 黒猫? 彼女はソロで手に入れる気はあるし、最悪自分に同じ物を作ってもらうと明言している。自分は2位などのために、研究した装備を渡す準備をしている。とりあえず鍛冶師は持ち込まれる素材で色々作るつもりだ。


「たいていの人はどれくらい強化系持ってるのかな?」


「いまのところ一つある程度ですね。ステータスアップはなく、効果だけの物。ステータスも上がる召喚強化は欲しいですね」


「そうなると、リファが気まぐれで作った物は丁寧に保管して作るか」


「妖精さんが研磨してくれるのは驚きましたね」


「石工かな? 結構上がって中級取れたし、やっぱり本人が意識的に使った物だからか。無理やりはたぶんダメ。少なくても『妖精のアメジスト』にならないだろうね」


「そう思いますか」


 これはたぶんそうだ。無理やりはできるだろうが、好感度が一気に下がる気がする。掲示板から好感度的なデータがあるとささやかれているため、無理やり作らせる人はいないが、おそらくするだろう。そういうゲーマーの勘があるらしい。


 黒猫が5位以下と50以下の装備も欲しいと言い始めた。これはさすがに無視する。獲得された素材は各集落へ運ぶ話も付けており、こうしてプレイヤー達はより一丸になり、素材集めを進めるのであった。


 ボス討伐とかしなさそうだな自分。適度にやろう。みんなも生産頑張ってるし、イベント報酬は少しで良いや。これいうと厳選が始まりそうだから内緒だけどね。

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