第36話・第2イベント:妖精が来た

 作業をしていると、草むらから影があり、モンスターかと思ったがガウムが反応しない。投擲武器を構え出てくるように呼び掛けると、二足歩行する猫と犬が現れた。


「君達は?」


「住処を探してます。助けてください!」


 イベントかな? 話を聞くとモンスターの所為で住処を無くし、彷徨っていた妖精の一族らしい。新天地を求めてここまで来たようだ。


 報告、連絡、相談して友誼を結ぶか確認する。ブラウニー達の指示やリファの指示を聞き、良く働いてくれる。白いアイコンではなくNPC、青のアイコンなのが気になるな。なぜかレントが巫女様として崇められている。


「どうして?」


「それは神の樹の精霊様ですから」


 なるほど、まさかそんなことになるとは。本体から霊木の枝とか持ってくるレント。おかげで杖や矢の準備はできる。


「鉱山みたいなところ見つけたぞ」


「湖の真ん中にダンジョンがあった」


 なんでも大きな島があり、中心に大きな穴が開いているらしい。ケットシー達は詳しい話は分からないらしい。そもそもこの辺りはまともに暮らすこともできていなかったらしい。


 いまは魔物避けのオブジェクトを作り終え、壁の配置も完了し出した。


 多くの者が発掘のためにダンジョン探索へと向かう中、私はといえばケットシーとコボルト達の指示をする係です。


「釣りを教えよう」


「釣りってなんですか?」


「まずは少しずつ覚えてみようか」


 というわけで湖で魚を釣る。雪アユや酒サーモンなど釣れるな。小さいケットシーやコボルトの服も必要だな。シルクワームの住処を増やしておこう。


 魔除けの半径を調べつつ、村の復興をしながら襲撃イベントというのに備える。ガチ勢は来ることを前提に動いていた。ありそうだからね。


 なんでこの村がダメになったのか調べているが、本とか無いし、いまは自分が責任者として運営する。


「畑はどうですか?」


「木々の実りが早く来ます」


「果物が美味しいです」


 そうかそうか。リファが持つ自分のexスキルのおかげだろう。しばらくして戻ってくる探索班。湖の方は水の中も調べられたらしい。岩石カキというのが手に入り、若ワカメというのがあったのする。海か?


 穴の中は黒いアリ型のモンスターが数種類いて、聖水が効いたとのこと。聖水製作に入り、数を備えておく。


 そうこうしていると、ご飯の時間。だいぶ肉系や魚、野菜など手に入り、料理ははかどった。


「野菜の種は持ち込みかな?」


「いえ、ポッポーハトというモンスターが種を落としますね。おかげで野菜も問題なさそうです」


「昆虫の外殻でインゴット作るか」


「カースアントソルジャーから調べるぞ」


 能力的に闇かな? 付与は後で試そう。


「マスター、ご飯の準備が終わりました」


「受け取りに行こうか」


 ガーネットさん達で色々会議をして大穴を調べるようだ。ここの問題は食料だろう。テイムモンスターが少し多い。とはいえそちらは問題は無さそうだ。テイマー達が自力でご飯を作る能力持ちが多い。釣り、狩り、農業して貢献してるから文句を言う人はいない。


「ご飯は豚骨スープっぽいな」


「ベビーボアとかの出し汁だって。ミルクがあるからクリーミーにできたとか」


「それはよかった」


 黒猫と共に食べている最中、グリモワールとレヴィに魔力のご飯を与えていたら、なにかの気配に気づく。


「空から来るぞ」


「モンスター?」


「いや」


 ふらふらとやってきたのは、風の精霊シルフ。子供の姿で男女いて、全員が小学生くらいの年齢に見える。可愛らしい女の子がリーダーをしているようだ。


「お腹がすきました」


 また村人が増えるのか。増築と種の確保が第一だな。


「もう少しミルクタンクとコケッコを召喚するか」


「いいんですか?」


「ここは切り時だよ」


 コケッコ達は野菜の葉やフィールドで採取できる牧草などがある。ウチで召喚できる友誼を結んだ個体を呼び出し、増やす方向で話を進める。動物クランがありがとうございますと言ってお世話を買って出た。


 それと共に生け簀を作ろうと思う。可能かどうか調べてクラフトする。今回のダンジョン探索でいくつか材料が手に入ったからね。


 正直ガチ勢が固まっていて、警備の方にも考えて行動時間を振り分けている。ほとんどの者がそれを守り、守りは問題ないから資材は食料確保に向けられた。


「小麦か、どうすれば」


「任せろ。風車小屋のレシピがあります」


「本当ですか!?」


 日々図書館や暇つぶしにレシピ本を探していたかいがあった。意外にもレシピを確保しているのが自分だけだったりする。大工クランの人達は古代語でてこずっているようだ。


「古代語か」


「やっぱ取っておくか。レシピって他にはなにが」


「魔法の作業台がありますけど、ここだとどうするか」


「材料があれば作っておきませんか? ケットシーやコボルト、シルフ達が魔法を使えそうですし」


 材料を確認して作業に入る。材料と手順などを見ようとする人がいる。レシピ通りとはいえ、未発見の人だと失敗するが、繰り返せば覚えるからね。自分の作り方を見て、後で試すんだろう。


 その辺りは構わないと言っている。ガーネットさんや黒猫の話を聞く限り、装備作りなどでまだ自分ほどうまく、各自の強化方法はできないようだし。


 それに自分は適度に楽しみたいから、別に他人に技術くらいは盗まれていい。コケッコ達はダメだけどね。


 その辺りをしっかり分かっているからか、コケッコ達はしっかり守られていた。

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