第34話・第二イベント前

 イベントの告知が来た。サーバー分けされたとある開拓地、そこに出向き、開拓するという内容。そこにあるらしい廃村の村を見ながら掲示板ではそれの復興か?と話し合いがなされている。


 特殊なポイントがあり、各自の行動によってポイントが付与される。モンスターを倒すと素材の他にもドロップするので、そのポイントを集めてくださいとのこと。


 アイテムは10種類のみ持ち込み可能らしく、自分はどうするか決めている。伐採オノ、鍛冶道具、錬金セット、発掘セット、木材×99、雪山の木材×99、固い木材×99、料理セット。あと二つはスクロールだ。


 というわけで準備に入ろう。万能生産場という物と万能キッチン部屋を作る。


 石工、鍛冶、木工のレベルを要求される中、何度も作り製作する。部屋があれば設置できる品物だ。たぶん向こうで復興作業する場合、部屋をもらえるはずだからね。


 万能キッチン部屋は燻製室、冷凍室、キッチンの性能を持つ。かわりに燻製室で作れる燻製肉やベーコン、ハムなどの数が半分も満たない。だが作れるからね。


 とりあえず用意しておこうと思う。材料はまああるし、最悪妥協すればいいと思っていたが、黒猫が参加した。


「復興だとやれることは少ないから、ノートについてく」


「いいの?」


「こっちが良いか聞きたい。パーティ組めば一緒のサーバーだろうけど、パーティ枠削るしね」


「いいよ、いざとなれば召喚術がある」


 というわけで黒猫も手を貸してくれた。材料を使用して良い物を用意する。後は材料集めだ。黒猫の枠は黒猫が決める。投擲道具など持ち込む予定らしい。


 次はレベリングだ。雪山でレベル上げをして、イベントに備える。レヴィ、レント、シズクを鍛えないと。グリモワールもレベリングしておく。レベル上げをしつつ、黒猫は全体的にクランの動向を調べるらしい。ランダムにサーバー分けされた場合、協力できるとこは早く協力するべきだからね。


「バカな連中のこともある」


「あー他にもいる?」


「いる」


 中堅クランなどの情報も仕入れて、対処しておかないといけないと走り回る黒猫。自分は黒猫に任せて、投擲武器や薬の調合をしつつ、燻製肉など用意しておく。


「元の種類が違うと一つのアイテムで纏められないか」


「ボア系でもベビーとかで別のハム扱いらしいね」


 黒猫が余分になったハムをパクリと食べて、私は腕を組んで考える。


「ハーブ園一つ買い込むか。向こうの畑に使用するか」


「キノコはどうする?」


「悩む」


 リファが畑の世話をしている。そう言えばイベントは期間中、参加できそうだ。


 それというのも仮想時間を早めて、1日でイベントを終わらせるらしい。ゲーム内だけ1週間過ごすとのこと。


 少し怖いが、すでに時間の加速は体験しているので大丈夫だろう。黒猫は1週間フルログインに喜んでいる。ただイベント中のログアウトはその瞬間、イベントからも弾かれる。ログアウトしないように気を付けないといけない。


「『宝石箱』とかはどうなの?」


「公式ホームページ経由すれば、ゲーム内で生放送。リアルだと処理し終えた瞬間に流れる」


 そちらのチェックも問題ないらしい。すぐに撮り終わり、放送できるとのこと。コメントはゲーム内の方しかできないらしいが。


「色々複雑だな」


「配信者は大変」


 配信するために色々チェックと契約を結んだりして、色々ガチガチらしい。装備のアップグレードもしておこう。特に黒猫、少なくても戦闘が起きた場合、最大戦力として働いてもらわないと。


 雪山のカメのライトアーマー、宝石を布生地に換えたものでネコミミフード、籠手はナイフを仕込んだ仕込み武器。


 レッグはアサルトレッグを着込み、エアウイングファルコンの羽根をモチーフにしたスカートを装備。背中は武器を迅速に切り替える鞘を装備している。


 武器は毒属性の攻撃を使える短剣、雷属性を持つ攻撃特化の片手剣。そして魔法は強化系を所持している。なかなか見た目含めて可愛いくも強い構成している。さすが女の子、可愛いに敏感だ。


「わたしは性能命。ガーネット達周りが着せ替え人形にする」


「あっはい」


 とりあえず準備は終了した。最初のメンバーはガウム、しんじゅ、グリモワール、レヴィ、黒猫となる。後は他に情報が無いか調べたりしながら、イベント当日まで準備するだけか。


「そういえば雪山より先のルート未発見だね」


「んー他に道はあったか?」


「ありそうだからな。エリアボス二体だったりして」


「あり得そう」


 マジ? 冗談で言ったんだけど黒猫は真剣に考えている。まあイベントがあるし、しばらくは放置の方が良いだろう。


 他の面々、知り合いも準備を終えて迎えるようにしている。釣り竿を二本、黒猫が持って行ってくれるのは助かるな。


 やることはまずは安全地帯を見つけて地盤作りしないといけない。プレイヤー同士仲良くやれるかも重要だ。


「バカがいないサーバーでありますように」


 本当にね。彼らは彼らでやっていて欲しいよ。そうして準備を終えて、イベント当日へと時間は進んでいった。この先どうなるか、少しわくわくしている。楽しみで仕方ない。


 とりあえず、がんばって楽しもうと思います。頑張ろう。


「良い素材と出会えればいいね」


「ねー」


 時間帯を約束して、今日はログアウトするのであった。

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