第12話・山頂で
教会に行き、聖水作りの話をする。
「問題ありません。そもそも聖水販売は未熟な聖職者のお小遣い稼ぎとして扱われています。そのために性能差もあるので、本格的な販売はウチではしていません。この辺りはアンデッドモンスターはいませんからね」
「なるほど」
「聖水を作るのなら、奇跡カテゴリーの魔法を手に入れておくと良いでしょう。そちらを売る方が教会のためになるので、買ってくれれば幸いです」
「それなら【ヒール】を一つ買います」
「はいはい」
聖水を作るのは問題ないらしい。【ピリフィケーション】の魔法を作ろうとして【ヒール】を買う。拠点に戻り、魔法を製作。【ヒール】と浄化石、水のコアを組み合わせて変化させる。
「後はこれと聖水の作り方を参考にしよう」
魔法スロットは六つまで、一つは【妖精の腕輪】に使用しているから、残りをやりくりして魔法をセット。こうして質の良い聖水ができるようになった。
「んー水を『綺麗な水』にすれば効果が上がりそうだ。【クリエイトウォーター】という魔法を作るか」
魔法を製作して、質をよくしよう。
「良質な聖水が作れるな。しんじゅのおかげだ」
「ピキュ」
返事をするしんじゅ。その後ろからリファが呼びかけた。
「おーい」
「ピキュ」
そうしているとリファに呼ばれたしんじゅが、リファの指示を聞きながら畑に水を与えている。
結構前からだなと思っていると、畑に変化があった。
神聖草という草が生えて、仙桃という桃が成る。どちらも薬草や桃の樹だったはずだが? なにかしたのだろうか?
納品すると普通より高い値段なので、桃は構わないし、薬の素材にすると効果を上げてくれた。
聖水を上げているらしく、聖水で品物が変化したようだ。新たな発見だな。
ポイズントードの皮で装備を作り、いくつか出来上がった頃に、スキル習得のログが現れる。やった。
そのスキルは【万能の手スキル】。能力は異常状態素材を加工する能力らしい。
これがあれば毒状態にならずに、ポイズントードの皮を加工して装備品にすることができるらしい。
他にも同じものが無いだろうか? 経験値として有効そうだ。
「いまは見つからないし、それなら鋼鉄シリーズを作るために、鉄鉱石と銅鉱石集めに行くか」
銅鉱石だとピッチャーやコップ、鍋に使ったりしている。性能はかなり良質だった。できれば数を揃えておきたい。
家具も揃えたいな。木材を集めて椅子やテーブルを作るか。木材を探しながらでいいだろう。
こうしてリファはお留守番、畑を頼んで三人で山の方に探索しに出向く。
ガウムとしんじゅがいるおかげで結構楽に進める。ここいらのモンスターは魔法のおかげでゴリ押せるからね。肉を求めてストライクボアを追いかけていると、山の中間くらいかな? それくらいのところに来た。
「んーこの辺りにも来られたのなら、この山登れるのか?」
山付近のエリアに来るのは、洞窟内で採掘をするためだけだ。山を登ろうとするプレイヤーは聞いたことが無い。
試しにどこまで行けるか試すことにした。樹があるから固い木材を手に入れながら、奥へと進んでいる。
するとしばらくして広い場所に出た。そこにいたのはまさに乳牛と言わんばかりの、大きな牛のモンスターだった。
「牛モンスターか」
「わんわん」
「あっ、ガウム!?」
牛のモンスターを見つけたガウム。突然ガウムが突撃していく。火魔法を使うと思ったら、傍に近づいて匂いを嗅ぎ、お乳を飲み始めた。ええー飲めるの?
ミルクタンクというモンスターでお乳を飲ませてるのを喜んでいる。自分も近づいて鑑定すると温厚なモンスターと分かった。
ガウムは一頭のミルクタンクから飲み終えると、傍にいる別のミルクタンクのミルクを飲む。三頭のミルクタンクからミルクを飲み、満足するガウム。ミルクタンクが後を付いてくるようになった。これは?
「イベントか?」
まだアイコンは白だ。これはシルクワームのときも白だった。他に白アイコンはあったかな?
「んー魚とかあったな」
魚とかで見たようなないような、そこまで見ていなかったな。今度確認するか。
まだテイム、友誼を結んでいないからか? とりあえずこの子達を連れて、山を下りよう。
モンスターが出てくるがミルクタンクも襲って来る。それを守りながら戻り、門番の人からはミルクタンクを連れて来たのかと微笑まれた。
そうして拠点に戻る際中、街中で鳥を見つけた。
鈴スズメというモンスターで、白いアイコンを持つ。どうやら襲わないモンスターは白いアイコンらしい。攻撃したりすると赤に染まるのかな?
拠点に連れてくると友誼を結ぶが出た。
「小屋が無いけどいいのかな?」
作れば良いから良いけど。そう思い、YESを押す。
ミルクタンク達を連れて拠点に戻り、固い木材を100個消費して、大きな動物小屋を作る。ここまでくると、木工スクロール化というアーツを覚えた。
ミルクタンク達は小屋の中に入り、ミルクを回収できるようになった。
「ふう」
コップにミルクを注いで飲み、美味しいからよし。
ホットミルクにしようと、暖炉の上に置いてみた。
「これから楽しみだ」
そう思いながら、今日の分の薬を調合することにした。
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