第10話・厳選厳選

 今日は連絡があり、別件らしいのでアサルトウルフはお預け。貯まっている仕事をしようか。


 漆黒豆も集まった。ツボに塩水と共に発酵させる。リファは失敗するよというからスキルが無いらしい。


 そうして何度か失敗してダメになったものの中から、醤油ができた。新たに【発酵スキル】と【醸造スキル】が習得される。


 それからは安定して醤油ができて、タレやソースなど作れるようになった。


 各種の『漆黒ソース』と『黒醤油』は数を揃えてフリマに売る。ついでだから糸と布も売りに出している。


 魔法の製作はついに【魔法製作スキル】というスキルを覚え、ある程度レベルを上げた。その後に付与強化魔法を作成。


 攻撃力強化【フレイムウェポン】と敏捷アップ【クイックウインド】。


 治癒力アップ【アクアリング】と防御力アップ【ディフェンスアース】。


 性能はよく、これを使い強化できないか、素材に魔法をかけたりして加工を試みる。いくつかそれらしい兆しを見せているようだ。


 丸一日、製作に時間をかけていて【付与魔法スキル】というスキルを獲得。今日は眠ることにした。


 その次の日はアサルトウルフ周回だ。【フレイムウェポン】と【クイックウインド】をガウムが装備して、接近戦に慣れさせようとする。


 何度か戦い、ドロップ品を確保。ドロップ品を全て預かり、装備品を作ることにしていた。


「どんな性能なのができる?」


「アサルトレッグが一番性能は高いね。それを極限まで強化するつもりだよ」


 まずはアサルトウルフを装備に変えて納品する。受け取った物には触れていない。他の装備を作り、経験値に換えてお金を貯める。


 10000G貯まったら、採掘ピッケルを購入。これで鉄鉱石を集められるようにするのだ。


 発掘ポイントで採掘すると、水晶、鉄鉱石、銅鉱石。かなりのレア物で宝石の原石が手に入る。シトリンの原石が出やすいな。


 研磨するには施設が必要だから、これは貯めておこう。鉄鉱石を質の良い鋼鉄のインゴットを作る。黒猫(呼び捨てで良いと言われた)はガウムをモフったり、世界語の勉強をする。


 鋼鉄のインゴットの質の良い物ができれば、次はアサルトウルフの牙を錬成する。


 アサルトウルフの牙++という品物を作り、それを合わせて牙のインゴットに変える。品質はもちろん高めで。


 ここまでは良い、問題はレアドロップ品である尻尾だ。これを++まで集めたいと思っていたが、黒猫がかなり持っていた。かなり周回していたらしい。


 錬金失敗で+だけだったりするのだが、これで高性能の素材が揃う。


 まだまだ本番ではない。伸ばしたい素材と合う魔法を厳選して、魔法付与をしながら製作する。


 こうしてできたのは、俺が作った中でかなりの高性能装備。その名も『疾風のアサルトレッグ』だ。


「おおーーーーッ!!」


 黒猫は目を輝かせて、敏捷値を+値を高めた装備を受け取る。火属性の付与もしたから攻撃上昇も付いている。


「これはいい!序盤神武器キタこれ!」


 防御力もかなり上がり、性能的に見ても装備品の中で間違いなく上位に食い込む性能していると絶賛する黒猫。作ったかいがあった。


 失敗作の性能の良い物も、これはこれで神武器性能らしい。攻撃力特化したアサルトレッグと悩みながらこっちとした黒猫。これは知り合いに上げるらしい。


「耐久値、足装備の中で上位のスペック持ち!これはアサルトレッグを極限強化するべき手本」


 そう、アサルトレッグは正規品でかなり破格の性能をしていた。だから工夫できるところを工夫した結果だ。とはいえ分かったことは、なんでも強化していいってわけではないことが分かった。


 ++と錬成強化したが、耐久値が5ぐらい上がるか下がるかくらいなんだ。これを厳選するのは黒猫並みの廃人ガチ勢だけだろう。


「スキル覚えたてかー」


 黒猫はもう少し性能を上げたいらしい。嫌々、ここまでやって最速で3レベルまで上がっている。これ以上詰めるとしたら他の物を製作した方が良い。経験値は新しい物など、貴重品を使えばかなり入ることは分かった。


 そうして騒いでいると、すいませんという声が響く。


 誰だろうと思ってみてみると、クラゲ系のマーマンの女の子。年齢は黒猫くらいかそれより下だな。


 彼女の名前は『クラーラ』。妖精さんが気になるらしい。


 妖精さんことリファも手を貸してくれて、だいぶ性能の良い物ができた。自分の分も確保したよ。


 そして妖精さんテイム方法を尋ねられて、別に構わないから教えてあげた。黒猫も聞いとくと言っているし。


 とはいえ図書館で調べられる情報だというのを付け加える。どうも魔法ギルド登録には世界語、古代語所持して1000G払うとできるらしいので、実は簡単だ。


 古代語も魔法ショップが1000Gとゲーム内一週間時間をかければ覚えられるらしい。


 それらの情報を聞き、驚く二人。その中でリファが慌てている。


「かえった!」


 そう言って三匹のヒヨコ、ココケッコが生まれた。オスメスいるから助かった。


 友誼を結ぶさまを見せて、これも説明する。黒猫からはそうほいほい教えるのは良くないよと言われた。いや、特殊なイベントってわけではないよ?


 手に入れる方法も教えてあげた。小屋の入手方法はさまざまだが、これは魔法ギルド登録しなくてもレシピが手に入るため、頑張れば良いと思い入手方法は伏せておくことに。


 とりあえずココケッコはカブの葉がご飯らしい。こうして激動の厳選の日々は終わりを告げた。

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