第5話・バイトイベント

 長時間ログインは無理だが、ちょくちょくログインはできそう。そう思いながらログインすると、隣に果物の山ができていた。


「おーっと、ガウムのご飯は大丈夫?」


 部屋にララビットの生肉を置いていたけど、果物も食べられたらしい。問題ないようだ。


 朝はフィールドに行く前に、農業ギルドへ果物を納品する。まとまった資金が入ったため、鍛冶師ギルドで発掘のスキルを取る。


 1000G支払い、【発掘スキル】と共に【鍛冶スキル】と【細工スキル】。それと『初心者ピッケル』と『ゴーグル』を受け取った。


 草原エリアに行き、ベビースライムを探す。少し大きいベビースライムを見つけて、テイムを試みる。


「ピキュ」


「テイムできた」


 スライムは食べるもので進化先が増えるとのこと。何食べさせよう。とりあえず持っているアイテムを見せると、失敗作の回復薬に反応する。5%だしいいか。あとは浄化石。


 ユニークだから名前付き、お名前は『しんじゅ』という。後はレベル上げと採取を繰り返すだけだな。夕方になると、図書館のクエストをしに戻る。


 果物と肉を倉庫に置いて、調合で薬を用意して置いておく。いまのところ【ヒール】があるから、回復ポーションは必要なし。


 レベルは2になった。ゆっくりやろう。そう思い、図書館の本の整理をする。


「これはここ、これは」


 こうして鑑定しつつ、本を選別していると、魔導書と出ているため、足を止めた。


「なにこれ?」


 そう思い手に取ってみたら、ぶつかってきた。痛い。


「なんだと、モンスター」


 本のモンスターがこちらに来る。やばい、これはとりあえず動きを止めないと。いや俺は前衛じゃないし、こうなれば………


「『テイム』!」


 光り輝き、一発成功! やったね、モンスターをテイムした。


「どうした!」


 係員の人が来ると、これこれと説明すると。


「それはこちらのミスだ。たまに古い本がモンスター化するんだが、暴れなくてよかった」


「こいつはなんて名前のモンスターですか」


「名前は『下級魔本』。物によっては魔法持ちだね」


「お前は何の魔法、げっ!」


 こいつ『グリモワール』は雷魔法所持の魔本。【サンダーボール】と【ライトニング】持ちであったため、係員が驚いていた。


 レベルは低いが、生まれたばかりの魔本らしい。


 これには被害が出なかったことで特別手当てが出た。お金か物か本か。正直本と迷ったが、自分はこれを選んだ。


 それは『魔法の作業部屋』。魔法ショップが特別高い物をくれるようである。それだけ一般人が入れる場所でモンスターを発生させたこと、それを素早く無力化したことを評価した結果らしい。


「魔本があるから、レベル上げして狩猟の森か、洞窟エリアに行くと良いよ。レッドスライムからコアが手に入って、魔法が作れるからね」


 そう説明されて、俺はこれを受け取った。


 とりあえずレベル上げの為、洞窟エリアへ行ってみることにする。


 ◇◆◇◆◇


 洞窟エリアは草原エリアのボスモンスターを倒さなくてもよかったようだ。洞窟エリアで発掘すると共に、レッドスライムを基本として倒している。


 いまのところ【ライトニング】が強い。ただMPをかなり使うため、【サンダーボール】を使って倒している。


 喋れないが、浮いて感情表現するグリモワール。調子に乗って使い過ぎるのが玉に瑕。


 発掘で手に入るのは粘土、固い岩、灰石、鉄石だ。レシピもあるから、石工でセメント作れる。


 木材があれば簡単な小屋は作れるらしい。作ってみたいため、鉄石で伐採オノを作ろうと思う。


 しばらくリファを召喚、MP自然回復量を早めて回って、無事に拠点へと帰る。


 拠点へ戻ると、もらったスクロールで部屋を設置。錬金術の施設もある、魔法の作業部屋が現れた。


 ここで魔法を作るようだが、とりあえず『レッドコア』を使い、【ファイヤボルト】を作る。


 何度も挑戦したりして、魔法を製作。やはり威力がまちまちで、その中で威力のある【ファイヤボルト】と【エアカッター】を装備。


 ガウムは【ファイヤボルト】をセットする。


 これならば狩猟の森でレベル上げができるだろう。その前に鉄石を伐採オノへと変えよう。


 バイトの時間に遅れる。食堂へ行く前に、作業部屋にある宝玉に魔力を貯める。これはグリモワールのご飯になるらしい。


 とりあえずテイムモンスターのご飯問題は問題ない。そう思いながら保存食と水ゼリーを食べて、食堂へと向かう。


 今日も皮むきとみじん切りとお皿洗いをする。


「賄いうまうま」


「それはよかったよ」


「テイムモンスターにも食わせてあげたいですよ」


「んーテイムモンスターはさすがに店にはあげられないね。お前さんが作れば良い」


「とはいえ、材料がまだ揃いませんよ」


「あーなら漆黒豆はどうだい? これがあれば美味しいソースが作れるよ」


「漆黒豆?」


「おお。うまく育てられればソースが作れるよ」


 そう言って渡された漆黒豆を育てることにする。とりあえずいったんログアウトするから、ログアウト期間、リファが果物を集めるから、それで畑を買おう。


 1500Gは、うん足りるかな?


 そう考えお礼を言って、お皿を洗い、店を後にした。

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