第8話 脱出不可能 無力なゴム人形
(行った…のか?行った!よし…よし!)
マリンは書斎から出て行ったことを確認し、パッケージの中で手をグッと握りしめるリック。
マリンの口ぶりからして帰宅するのはかなり遅くなりそうだ。
これはまたとない逃げるチャンスだった。
はやる気持ちを押さえつつ耳を澄ませる。
車のドアがバタン閉まる音…そしてブロロロというエンジン音が聞こえた。
おそらくマリンがどこかへ向かったのだろう。
リックは猿轡を噛みパッケージのワイヤーの拘束を外す。
そしてパッケージから出ようとした。
「ふぅ!?むぐぅぅ!!」
ドシン!
しかし慣れない高いピンヒールと、ずっと体を拘束されていたせいもあり尻もちをついてしまう。
そのせいで肛門に入れられているプラグにグッと前立腺を押し込まれ、悶絶してしまう。
(はぁ…はぁ…うぐっ!うぅぅ…あれ?なんで?えっ!?)
何故か肛門のプラグが振動し始めてしまった。
転んだ衝撃でスイッチが壊れてしまったのだろうか。
(これは…うっ!まずい…ぞ…早くスイッチを切らないと…んぅ!)
その場になんとか立ち上がり、足をガクガクさせながらマリンが座っていた机まで歩くリック。
さっきまでマリンに責め立てられていたせいもあり、少しの刺激でイきそうになってしまうのだ。
慌てて机の引き出しを全部開く…しかしプラグのリモコンが見つからない。
(まさか…リモコンを持って行ったのか?じゃあコレどうやって止めるんだ!?)
ミトンに包まれた手で肛門のプラグのスイッチを探る…しかし構造がわからないうえ、ゴムのピチピチのお尻に包まれているせいでどうにもできない。
息張ってもプラグの径が太すぎて抜ける気配がない。
逆に刺激を与えてしまったせいで軽く絶頂してしまいそうになる。
リックはマスクの中で顔が青ざめていった。
(うぐっ!止まらない…どうしたら…んっ!とりあえずソラに連絡だ。まずはここから出ないと)
リックは胸のブローチを押し込み、ソラと一日ぶりの通信を試みる。
「ふぅ…ふぅ…んぐぅ…」
『…』
「ふぅ…ふぅ…むぐぅ!むぅむ…」
『ん?リック!?リック!無事なの?』
「むむぅ…ふぅ…ふぅ…」
『無事…なのかな?よかった…かなり疲れてるっぽいけど』
「んぐっ…ふぅ…ふぅ…」
一日ぶりにリックの声を聴き安堵する姿が無線越しにも伝わってきた。
実際リックはお尻をプラグに責められており、あまり無事ではないのだが。
『ごめんね。外からじゃ警備の人とかいて助けに行けないの。変装して入り込もうとしたけどどれもダメで…ナビするからなんとか自力で頑張ってみて?まずはその部屋を出て右に行って?』
「むぐっ!むぅぅ…」
リックはよろよろとした足取りで書斎のドアの前まで来た。
ドアノブをミトンに包まれた両手で回そうとする…しかし回らない。
(はぁ…はぁ…くそ!なんで開かないんだ?)
リックはノブ付近を見渡すも内鍵のようなものはない。
そしてマリンが部屋から出るときの様子を必死に思い出す。
(普通に…出ていたよな?うぐっ!くそ…お尻が…でも出た後に音が鳴っていたような…まさか外から鍵をかけてる?そんな‥)
リックはその場にペタンとお尻をついてしまう。
そう、マリンは毎回書斎から出るときに律儀に外から鍵をかけているのだ。
この部屋は外から鍵をかけると中からは開けられない。
窓もはめ込み式になっているし、高い場所についているので今のゴム人形のリックではそこから出ることもできない。
つまりリックは外から誰かが来てくれない限り、この部屋から出ることはできないのだ。
しかもソラも助けに来れないし、オークション関係者が回収に来るのは明後日だ。
リックはそれまでこの変態的なゴム人形の中で、マリンにさらに辱められることが確定してしまったのだ。
リックは肛門のプラグの刺激にビクビク耐えながらも再びソラと通信を再開する。
『リック?どうしたの?アイコンが動いてないけど…部屋から出て右だよ?誰か外にいるの?』
「ふぅ…ふぅ…むぅむ…」
『いないのね?』
「むぅ…」
『じゃあどうしたの?動けないの?』
胸のブローチに付けた発信機でリックの動きはソラに伝わっている。
そこから動かないリックに不安を募らせるソラ。
一日通信が取れなかったこともありソラもかなり精神的にきているようだった。
『もしかして部屋から出れないの?』
「むぅ…」
『鍵とかかかってるってこと?』
「むぅ…」
『そんな…』
ソラの声色から絶望が伝わってくる。
リックはブローチから手を放し、ソラとの通信を切ってしまった。
(あぐっ!…ごめんソラ。諦めるよ。オークションの奴らがくるまで…あぐっ…それまで持つのか?俺の心は)
実際今もプラグのスイッチが壊れお尻を責め立てられ続けている。
しかもマリンが帰ってきたらさらなる快楽を無理やり与えられるだろう。
そんな不安とプラグから無理やり与えられる刺激でリックは心がぐちゃぐちゃになっていた。
腰を下ろしていたリックだった、しばらくしてその場からよろよろと立ち上がった。
(ふぅぅぅ…パッケージ戻ろう。マリンに見つかったら大変だ)
もじもじ内股になりながらパッケージに向けて歩き始める…その時だった。
ガチャ!ギぃ…
なんと書斎のドアが外から開けられ、マリンが帰ってきたのだ。
(え!なんで!?足音がしなかったのに!やばい!どうすれば!)
マリンはリックがパッケージから自由に出られることを知らない。
リックは混乱してしまい、またドシン!とお尻をついて転んでしまった。
(いぎぃぃぃ!!!)
その刺激でリックは無様にも絶頂してしまった…
ビクビクと情けなく体を震わせるリックにマリンはゆっくりと歩み寄ってくる。
今まで見せたことのないような険しい顔をしている。
リックは快楽と絶望が入り乱れながらも、ひどい仕打ちを受けるだろうと覚悟していた。
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