第10話

「あなたとは何か縁があるようだ」

 また聞き覚えがある声が聞こえ、黎慈は目を開けると、そこには朝、夢で出会った少女がいた。

「朝の私の質問の意図。分かってもらえましたか?」

黎慈はすでに覚悟を決めており、少女に答えを言った。

「もちろん、覚悟を決めてきた。夢の探究者とやら、受けさせてもらいたい」

「あなたならそう言うと思っていました。では、あなたを夢の世界に入れるように手配いたします。夜までには入れるようになりますので、またお越しください」

「では、私はこれで」

少女はそう言うと、視界が暗転した。

 黎慈は気づくと、起きており、スマホのアラームが鳴っていた。

 時間は午後6時を過ぎており、ちょうど夜ご飯の時間らしい。

下の階からいい匂いが漂ってくる。

 黎慈はロビーへ向かった。

ロビーのキッチンでは、衣百合が三人分の夜飯を作っていた。

 衣百合はこちらに気づいておらず、黎慈はキッチンへ行って衣百合の隣に行った。

「何か手伝えること、あります?」

黎慈はそう言って衣百合の顔を覗き込むと、衣百合はびっくりしたようで、『ひゃあ!』と言う声が聞こえた。

「ちょっと、びっくりさせないでよ〜!そうだなあ、、、じゃあそこの鍋見といてくれる?」

 黎慈は頷き、鍋を見ることにした。

鍋の中身を見ると、カレーが入っていた。

しばらく鍋を見ていると、衣百合が話しかけてきた。

「いやー、枝先くんは頼りになるよね。亮にも見習って欲しいよ」

「亮はどこに?」

「さあ?どっかに遊びに行ってるんじゃない」

そんな話をしていると、亮が帰ってきた。

「ただいま。黎慈、あの後教室には行けたか?」

「当たり前だ。朝はありがとな、亮」

 黎慈が言った言葉を聞く前に、亮はすでに自分の部屋に戻っていた。

 数分すると、亮が着替えてロビーの椅子に座った。

衣百合の『よし!』の声と共に、焼いた卵焼きをテーブルに持っていた。

 その後、衣百合はキッチンに戻り、大きめの皿を椅子がある場所に人数分持っていた。

並べ終わると、衣百合が黎慈と亮に対して話し始めた。

「今日はカレーだから、自分が食べたい量キッチンから盛ってね」

 衣百合がそう言うと、亮が衣百合のことを茶化しながら話し始めた。

「なんか今日の夕食、豪華だね。なんかいいことでもあったの?」

「な、なんもないよ。ただ、枝先くんと初めて一緒に食べる夕食だから、少しくらい豪華にしようかなって」

衣百合は、黎慈の顔をチラ見してから、少し頬を赤くし、空いた皿を持ってキッチンに向かった。

 亮は何かを確信したらしく、ニヤリといやらしい顔をしていた。

亮と黎慈の2人も空いた皿を持ってキッチンに向かい、適量盛り付けた。

 ロビーに戻り、三人が食卓を囲んでいると、隣に座っていた亮が小声で黎慈に話しかけた。

「黎慈、お前このチャンス大事にしろよ」

黎慈はなんのことを言われているのか分からず、困り顔をしながら亮の方を見ていた。

「お前、今の流れで気づいてないのか?まあいいや、衣百合もかわいそうだな、、」

2人で話していると、向こう側に座っている衣百合が話しかけてきた。

「ちょっと、2人で何話してんの?私もいるんだけど?」

 亮は慌てて取り繕い、三人は夕食を食べ終わった。

時間は7時半、衣百合が食器を洗いながら、ロビーの椅子に座っている黎慈に話しかけてきた。

「黎慈くんは、今日の学校はどうだった?」

「まあ、楽しそうな雰囲気でしたよ。一年間、楽しみです」

「なら良かった。私、こう見えても生徒会の人間だからさ。そう思ってもらえて嬉しいよ」

 衣百合は笑顔で黎慈を見ており、また衣百合が話しかけてきた。

「黎慈くんはさ、部活動とか入る予定はある?」

「今はないけど、誰かに誘われたら入ろうかなって思ってます」

黎慈がそう言うと、衣百合は提案をしてきた。

「じゃあさ、私と同じ陸上部に入らない?体力作りにもなるし、いいと思うんだよね!」

「前向きに考えておきます。友達がいると心強いし」

「本当に!じゃあ、明日顧問の先生に話しておくから、見学でもいいから見にきてよ!」

 2人でそんな話をしていると、シャワーから上がった亮が来た。

亮は2人が話しているのに気がついたらしく、そそくさと自分の部屋に帰っていった。

 衣百合は、亮がシャワーから上がったのに気づいており、シャワーを浴びに行った。

黎慈も、衣百合がシャワーから上がるまで、自分の部屋で待つことにした。

 数十分後、下の階で扉が開く音がしたので、ロビーに行ってみることにした。

ロビーのソファーにはジェラピケ姿の衣百合がいた。

 今ならシャワーを浴びれると思った黎慈は、着替えを持って風呂場に向かった。

数十分でシャワーを浴び終わると、服を着替えて自分の部屋で夢の世界に入る準備を始めた。

 アイマスクを準備し、ベッドメイキングを終わらせ、明日の準備も入念した。

 色々作業をしたり音楽を聞いていたりすると、時間は深夜23時。

 黎慈は夢の世界に入るために、アイマスクをつけて就寝した。

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