28話 朝チュン(ほんとに眠っただけ)

 チュンチュン!チュンチュン!


 もう次の日の朝か…。結局昨日の夜もずっとかわいいだのなんだの言って、2人とも離してくれなかったからな。俺は男だからな…かわいいよりはカッコイイの方が、言われると嬉しいんだがな。やはりこういうことを考えるようになると…精神の若返りを感じるな。あ、ちなみに鳥が鳴いているが、朝チュンというやつではないぞ。本当に朝になったから泣いているだけだ。そもそも6歳だからそういったことは…おそらく最後まではいけないだろうな。それに何度も言うが俺はロリコンではないから、もしそういう雰囲気になっても拒むだけだ。


 「はあ…昨日はいろいろあったし、まだ2人は寝かせておいてやるか。」


 そう、さっきからの話で察している奴もいると思うが…こいつらは俺と同じ部屋で寝た。はっきりと自分の部屋に戻れ!と伝えたんだが、その度に~でも危険な時いてくれなかったし~とか言って戻ろうともせん。しかたないから!一緒のベットで寝ることになったが…。はあ…、出かけよう。


 「久しぶりにクラウディアに会いに行って、ミラの修練状況でも教えるか。あとグリフィンの素材も余ってるしな。コーネリアに心臓を予備もあわせて5つ渡した…、ことを加味してもまだ30は残っているし、持っていても仕方ないしな。」

 


 「ありがとうございました~気を付けて行ってらっしゃいませ。」


 「エミリーさん、また今日も換金いいかな?それとギルドマスターに会いたいんだが。」


 「あ、天冒険者!今日もいらしたんですね!ギルドマスターは今席を外しているので、少しお待ちいただくことになります。なのでとりあえず素材の鑑定していきますね!」


 「そうか、じゃあ鑑定をして待つとしよう。あ、それと前回言った調和に最適な素材は何か出品されていないか?」


 「あーそれですと…明後日の競売でかけられる予定になっていますね!」


 「競売?」


 「はい!天冒険者も参加なさってみてはいかがでしょう?」


 「なるほど…競売か。ちなみにその競売は…支払いは現金しか使えないのか?」


 「といいますと?」


 「例えば飲むだけで万病に効く薬、だったりオーラや魔法を体に循環しやすくなるようになる薬とか、あとは天地を切り裂く武器、のような現物でも支払えるのか?」


 「ん~どうでしょうか…基本は現金ですので…ですそういった事例がないわけではありません。」


 「ほう?教えてくれ」


 「あの時は出産による魔力障害に効く素材で支払われました。」


 「出産による魔力障害?なんだそれは?」


 「天冒険者も知っての通り、魔法によって女性同士で子供が産めるようになりましたよね?その際に使う魔法によって、生まれた赤子に魔力による弊害が発生する、といった障害です」


 「なるほどな…」


 「ですがその時は極めて特別な状況で…とある貴族家に生まれた子供がそうなったため特例として支払いが素材でということでしたから。それにそんな競売の支払いに使えるほど価値のあるモノなら、競売にかけた方が儲かる可能性があるので、顧客側もそういった提案をすることはめったにありません。あ、ですが先ほどおっしゃった万病に効く薬だったり、魔力やオーラを循環しやすくなるようになる薬だったりなら、特殊な状況じゃなくても支払いに使うことはできると思いますよ。まあそうしたモノが本当にあれば、それこそ競売にかけた方がより儲かると思いますよ。」


 「なるほどありがとう。確かに競売にかけた方が儲かるか…。あ、それならその出品者やその身内の病気を直接診て治す、とかでもいいのだろうか?」


 「はい…それも大丈夫だとは思いますが…そもそも出品者は匿名なのでその方やその方の身内が病気だなんて調べるのは困難ですし、それに仮にそれがわかっても万が一治療できなかったらどんな代償を払うことになるかわかりませんよ?」


 「ふむ…確かにな。それはそうなるか…」


 「天老君!私に会いに来たんだろう?時間ができたから奥で話そう。」


 「クラウディアか…わかった。エミリーさんいろいろ教えてくれてありがとう。」


 いつの間にかクラウディアがそばまで来ていた。


 「いえいえ!あ、まだ査定が終わってないので、結果はギルドマスターとのお話が終わった後にお伝えしますね!」


 「ああ、ありがとう。」


 そうしてエミリーさんとの話を切り上げ、クラウディアと話すために移動した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る