第2話【誕生】
誰もが認める最強の
西暦2513年、世界中が注目する中、二人の子が産まれた。
が、すぐに世間からの関心を失う事となる。
「おぎゃあ!おぎゃああっ!」
「能力……なしです」
医者は終始申し訳なさそうにしている。
能力がない事を伝えるのは、毎回辛い仕事だ。
ましてそれを最強の
そしてたった今、医者自身も尊敬してやまない
その心労はいかばかりか──。
「なし、ですか……」
残念というより、サリーは不安そうに呟いた。
能力の有無は小さな問題ではない。
今の時代、そしてそれが子どもなら尚更──。
「二人で守ればいい、能力も後から発現するかもしれない。無事に産まれてくれて何よりだ」
ライゼはまず無事に産まれた事に安堵し、サリーにもそう言い聞かせる。
「そう…ね。そうね。私の赤ちゃん」
愛しそうに赤子を見つめるサリーに、医者が告げた。
「能力がないので、パワーの計測値は当然ながら0です」
そのままの意味だ。能力が発現していなければ、何回計測しようが0のまま。
身体能力ならば握力、体力テスト、いくらでも計りようもあるが、能力がないのだからそのパワーは計りようがない。
父ライゼは今の機器では計れないほどのパワーを持つ、人類初の計測不能者であり、世界中の期待を背負ったその息子が能力なし、パワー計測値が0である事はすぐに世間の知るところとなった。
それが何を意味するのか、赤子は成長し、嫌という程思い知ることになる。
今やあらゆる職の市民も、微弱ながら何かしらの能力を有している。
能力なしは珍しく、今やパワーで差別される時代になっていた。
【能なし】と、罵られる事もある。
そうした事態を受け、差別を禁止する法も可決されたが、法による拘束力など無に等しい。
そんな時代に二人の子は誕生した。
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