スギ花粉にあこがれて
乙島 倫
スギ花粉が待ち遠しい
春になると花粉症でくしゃみをしている人がいます。花粉症に苦しんでいる方には申し訳ないのですが、私は小さい頃からずっと花粉症に憧れていて、いつか、花粉症というものになってみたいと思っていました。
花粉症になると目がかゆくなったり、鼻水が出たり、くしゃみが続いたりして大変みたいなんですが、私にはそういった症状が一切ありません。春になって栃木の山奥まで行って、花粉をいっぱいに浴びたこともあるんですが、それでも何も起きませんでした。
でも、私には花粉症への気持ちは収まる様子はありません。今年も、この季節に合わせて、たくさんのティッシュペーパーや目薬を買い込んでおきました。でも、私の鼻の花粉センサーは一切反応せず、何も起きませんでした。
目の周りをガードするタイプの眼鏡を装着している方がおられます。特に憧れます。本当にあのくらい重度の花粉症になりたいです。
変な言い方しますが、花粉症になったうえで、花粉を全身に浴びて、全身が鼻水まみれになっても私は構いません。私はそれで満足です。
だって、私は花粉が来るのをいつも待ってますし、花粉も私を求めています。私達は相思相愛なのです。私と花粉を男女に例えるなら、私はどこにも行けないかよわい女子。花粉は風に乗って空を舞いながら、決死の覚悟で愛する人の元に向かう勇敢な男子。
風媒花の花粉のことを思うといつもそのことで胸がいっぱいで、呼吸も蒸散もできません。
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