第47話 魔法学園での再会
「短期留学生として隣国から魔法学園に来ました、ハーデン子爵家のクリスです。短い間ですが、よろしくお願いいたします」
3年生のクラスに途中から編入するため、少し緊張しながら自己紹介をした。念のため、伊達メガネを掛けて、髪は三つ編みにして目立たないようにした。
「では、席は…」
「ジョセフィーヌ先生、私の隣の席が空いています」
「はい、ではそちらへ座ってください」
担任の先生に促され、私は窓際の席に座った。担任として紹介されたのは、なんとギルフォード殿下の元婚約者のジョセフィーヌ様だった。詳しいことは、放課後にお話しましょうと微笑んだジョセフィーヌ様は、とても幸せそうだった。
3年生の授業は、属性別が多く私は光魔法の教室を中心に授業を組んだ。マリア・ジョーンズ先生が事件を起こしてからは、神殿から光魔法の専門家が派遣されているそうだ。私は聖女だとバレないように気をつけながら、本日の授業を乗り切った。
「ジョセフィーヌ様、お待たせいたしました」
「お久しぶりです、クリスティーヌ様。事情は伺っていましたが、実際にお会いするとギルフォード殿下の所業に怒りが湧きますわね」
「もう済んだことです。ギルフォード殿下も10年間呪いの代償を払い続けておられましたから。それよりも、どうしてジョセフィーヌ様が教師になっているのかが気になってしまって…」
「ふふ、そうですわね、この10年で私にも色々とありましたのよ。そうですね、どこからお話しましょうか…」
ジョセフィーヌ様が13歳でギルフォード殿下の婚約者になったのは、実は婚約破棄が目的だったこと。今は子爵家の次男と結婚して、子供が一人いることを教えてくれた。
「家庭教師として来ていた方に恋をしたのです。でも家格が合わないと父に反対されて、私はギルフォード殿下の婚約者になることを決めました。婚約破棄されて傷もの扱いされれば、チャーリー様と結婚できる可能性もありましたから」
「もしかして、魔法薬の先生の?」
「あら、よく知っていますね。そうですね、10年前は教師として勤めていましたね」
まさかの攻略対象チャーリー先生が、ジョセフィーヌ様の想い人…
「今は退職して男爵の爵位を得て、領地にいますのよ。持参金代わりにお父様から頂いたのです」
ギルフォード殿下の婚約者にしてしまったことに責任を感じたロード侯爵様が、自分の持っていた爵位を一つチャーリー先生に譲り、ジョセフィーヌ様を嫁がせたそうだ。
「ここまで上手く運ぶとは思ってなかったのですが、今はとても幸せなんですよ」
「でも、どうして先生になっているんですか?」
「そうですね、旦那様が退職する際に、後継の先生が見つからなかったのです。それで、決まるまでの間私が先生になることになって、そうしたら先生という職業が楽しくて、ずっと続けているのです」
男爵の領地は王都からも近いので、教師を続けながら王都にあるタウンハウスで子供と暮らし、チャーリー先生は週末に帰って来るそうだ。
「二人目の子供が出来たら、私も教師を引退しようと思っているのですが、こればっかりはわからないので、それまではこちらで先生をしている予定ですわ。まさか教え子としてクリスティーヌ様を迎えるとは思っていませんでしたが、16歳になるまでよろしくお願いいたしますね」
「はい、こちらこそよろしくお願いいたします」
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