第2話 可能性

良く寝た 

休みの日はだいたい13時くらいまでいつも寝てる

ボサボサの髪を括り歯磨きをはじめた


そうだ今日まやさんをご飯でも誘ってみようかな

携帯を取り出しインストールしたてのテレグラムを開きメッセージを送ってみた

香里「はや」

すぐ既読になった

仕事が18時過ぎには終わるからそのあと合流しましょうと書いてあった


まやさんって働いてるんだ 年金暮らしかと思ってた

何の仕事してるんだろ 

18時まで時間あるなあ コーヒーを作り飲みながら無人島販売のサイトをみはじめた


欲しいなあーなんでこんなに欲しいだろう

香里は3時間無人島関連の情報を色々と調べていた


やべ そろそろ用意しなきゃ 

シャワーに入り化粧を始めた

春の始まりに出かける用事がある時はだいたいいつも浮かれている


ファッションには特に興味はなく無難な格好を好んでしていた

インスタに映るキラキラした女子達とはかけ離れていた

香里はInstagramやTwitterやTikTokなどは一切やっていなかった 

一度皆と一緒の感じでやってみようかと思ったが何が楽しいのか分からなかった

コメント欄を見て寒気がした

高校生の頃に一度だけ彼氏ができた

1年ほど付き合って別れた

何が原因かは分からなかったが振られてしまい

それ以来特に出会いなどはなく現在の23歳になっていた


19時に吉祥寺の駅で待ち合わせにしたので香里は電車で向かった

約束の時間の15分前くらいに駅についてベンチに座って待っていた

メッセージが届いた

辺りを見渡すとタクシーの窓から手を振っている


まや「おーいこっちこっち」

タクシーに一緒に乗った


まや「いつも電車で移動してるの?」

香里「はい タクシー高いんで終電の時間の前は電車ですね」

まや「今日は私の会員になってる天麩羅屋さんに行かない?おいしいのよ」

香里「いいですね 行きましょう 楽しみ」


会員? 会員制の天麩羅屋なんて入った事ない

高そうだな 一万ちょいしか私ないぞ


よく見るとまやさん派手じゃないけどなんか身に付けてる服高そう

でも嫌な感じじゃない この人散歩の時の感じとは違って50代くらいに見えるな


そしていい感じのこじんまりとした店につき

おいしい天麩羅を食べながら2人でいろんな話をした

一通り話をした後今1番欲しい無人島の話をした


まや「いいじゃない 頑張って働いて貯めて買えるようになるといいわねー でも2億は今のまま一生働いても不可能だね」


香里「ですよねーだから仕事変えようかなあ

でもそんな給料いいとこないし自分で起業しようにもそんな知識や経験ないし」


まや「どれぐらい本気で無人島欲しいの?」


香里「かなり本気ですよこんなに欲しいものができたことないです 体売ろうかとも考えました

でもブスなんで需要ないかなあみたいな」


少しの沈黙のあと まやは真剣な顔で聞いた


まや「国や法律とか香里ちゃんはどう考えてる?」


香里「?どうゆうことですか? 日本はいい国だし法律もしっかりしていると思います」


まや「たとえば殺人罪 人を殺すのはいけないことよね? だけどもし自分に子供がいたとしてその子供が一日中拷問されてレイプされて殺されたとすると 香里ちゃんはその犯人を日本の法律で裁いて欲しい?それとも自分の手で法律違反だとしても殺す?」


香里は真剣に考えてみた


香里「自分の手で殺すと思います」


まやは頷いて笑顔で言った


まや「私も」


まやの透き通るような目の奥には冷たく暗い何かが見えた


香里「今の話はなんだったんですか?」

笑いながら聞いた


まや「ごめんごめん話変えて 今日ニュースで悲惨な子供の事件見たばっかりでその子の親が泣きながら犯人を死刑にしてくださいって言ってて

私は少し不思議に感じたの なんで今すぐ殺しにいかないんだろうって それ思い出しただけ」


お腹いっぱいになり店を出た


会計はまやが払ってくれた


香里「ごちそうさまでした おいしかったです

私から誘ったのにすみません」


まや「気にしないで おいしかったね 」


本当にびっくりするほどここの天麩羅はおいしかった 


まや「ちょっとだけお酒飲みに行かない?まだ時間も早いし」


香里「いきましょう!」


楽しかったのでまだ解散したくないと香里は思っていたので嬉しかった

2人はまたタクシーに乗り六本木に向かった


二軒目に高級そうなBARに到着した


「いらっしゃいませ 生田様」


常連なのかな? わー高そ


まや「ここ色んなウィスキーがあっておいしいのよ」


年代物のマッカランを2人はハイボールで飲み始めた


まや「香里ちゃんて素朴な感じがいいよね

今の若い子達と違って人の目を気にしてないし

変な意味じゃないわよ」


香里「いいことなんですかねー自分が何者でもないことを自覚してるだけだと思います」


まや「そ!それがいいの 私も同じ考え」


2人は歳の差はあるがかなり相性がよくお酒も進み楽しい時間を過ごしていた


香里「気になってたんですけどまやさんって何の仕事してるんですか?」


まや「私の仕事はねー その仕事を関わる人にしか話せないの」 まやは笑いながら答えた


香里「なんですかそれ めっちゃ気になるじゃないですか なんか秘密保持契約みたいなことしてる仕事ですか?」


まや「そんな大それた国がらみの仕事だったりじゃないわよ  実はね香里ちゃんスカウトしようかと思ってたの」


香里「え 興味ありますけど何の仕事か分からないとできるか分かんないですけど」


まや「法律違反まみれの仕事だよ」


香里「だめじゃないですか 冗談ですよね」


まや「冗談じゃなくて本当の話」


まやは笑っていなかった 

本当だとしたら何やってるんだろう?こんな真面目そうなおばさんが悪いことしてる ありえないでしょ いろんな思考が巡った

香里は冗談まじりに聞いてみた


香里「その仕事私がやると月にいくら稼げるんですか?」 


まや「最初のうちは150万くらいかな 慣れてきて色々やり始めれば4000万くらいはいくと思うよ」


香里「月ですか!?なんですかそれは!」


まや「覚えたりやること色々あるけどそんなのは時間が解決するから問題ない ただ一つ問題なのは行く道をきめる覚悟があるかどうか 

普通の会社とかじゃないから退職とかはないわよ?意味わかる?」


めっちゃ悪いことするのかな?抜けらんないよって意味でしょ 怖いな でもお金本当にそんな稼げるなら正直興味はあるなあ 無人島買えるじゃん 


香里「私がやるっていったら内容説明してくれて明日からでもできるんですか?」


まや「もちろん」


まやは満面の笑顔で答えた


香里「少し考えてもいいですか?お酒入ってるんで明日まで時間ください」


まや「100点の答えね お酒入ってなかったら今この場で決めたでしょ?そうゆうとこ好きよ」


2人は飲み終わりBARを出て解散した


その夜香里はまったく寝れなかった

何の仕事なのか分からないし真面目そうでいい人だけど信用できるのかも分からないし

なんかこれって私の人生の最大の分岐点のような気がする

そんなことを考えていた香里はなぜか半笑いだった

人を殺す仕事だったりして いやそんな仕事はないか というかおばあさんには無理だろ

人を騙して稼ぐのかな?今流行りの特殊詐欺みたいな いろんなテレビのニュースに流れた事件を思い出していた

よしじゃあ特殊詐欺だと仮定しよう

お金の為に私はできるのか考えた


できる


うわあー私はクソ野郎だ  

そんな自問自答をしていた


そして一つの答えが出た だめだ内容聞かなきゃ仕事なんてできない

特殊詐欺でお年寄り騙したくないし殺人なんてできないし強盗やらされるかもしれないし


まやさんにメッセージを送った

内容聞かなきゃできません


すぐに返信があった

’ 'それは当然よね 時間ある時会って話すからいつでも連絡して''


なんじゃそりゃ 膝から崩れ落ちた からかわれていただけだったのか


そしていつものように爆睡した

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