緑の風
damn you
第1話 いつもの散歩道
緑の風
朝比奈 香里〔かおり〕は散歩を毎日1時間するのが日課だ
歳は23歳 現在の職業はキノコの加工業
仕事は朝8時から始まり17時に終わる
彼女はいつも考えていた
私はこれから一生をどう生きていこうか
家族とも交流はなく友達と呼べるか分からない知り合いが2人程しかいない 職場の人間も休憩時間に少し喋るくらいだ
毎日同じことの繰り返し 朝起きて仕事に行き夕方には終わり家に帰りご飯を作り食べながらインスタやYouTubeを見てそれから1時間散歩に行き帰ってきたらシャワーを浴びて寝る
そんな生活を続けている
いつも何か変わりたい 楽しく生きたい
何か目標ややりがいが欲しいと思っていた
この日もいつもと変わらず散歩に出かけた
夜の気持ちいい風が彼女を犯す
香里「あー気持ちいい 散歩いけるだけでも幸せだなあ」
大きな独り言をわざと吐いてみた
田舎の川沿いを歩いていく
向かい側からいつもこの川沿いを歩いてくる老夫婦が見えた
幸せそうだなー私も彼氏つくって結婚でもすれば楽しいのかな
でもなんか違うんだよなあ
そんなことを思いながらすれ違い様に軽い会釈をする
しばらく歩いていると野良猫に出会った
まだ小さく子供に見えた
かわいい でも私のアパートはペット禁止だ
振り返るとまだそのかわいい猫はこちらを見ていた
なんか変な感じがした
あれ 私 このまま生きてるとやばい
後悔する なんだこの感覚
香里は味わったことない恐怖に取り憑かれた
家に帰りシャワーを浴びながら必死に違うことを考えた しかしあの時の感覚がずっと纏わりつく
考えても無駄だ
私は今のまま平穏に暮らしていく
それで満足してる
だって何すればいいの?
シャワーが終わりベッドでYouTubeを見始めた
稼げる副業 携帯だけで月50万
モテたい男子 かわいく見える方法
いろんな文言が飛び交っている
こうゆうの信じてやる人達いっぱいいるもんなあ
稼げる方法なんてインターネットにのってるわけないじゃん 自分で考えて何か創り出す人達しか稼げないの分からないのかな?バカな私でもそれぐらい分かるのに
私は今の給料に満足はしてないが特に不満もない
月手取りで19万 贅沢はできないけど貯金はできるし借金も特にない 友達もいないから飲み会やらなんやらの交際費もない
少し考えてみた
もし私が月に300万稼いでいたら何か変わるのかなあ
でも欲しいものないしブランド物や車
お金のかかる趣味もってないし
なんで私こんなに物欲ないんだろう
スクロールしていた画面をとめた
え 何これ 欲しい
初めて強い欲求がでてきた
無人島が売っていた 2億ちょっとで買える
自分の島なんて買ったらおもしろそう
色々と想像してみた これはかなりおもしろそうだぞ
香里は無人島売買のサイトを手当たり次第に見た
安いものから高いものまで色々とあった
最初にみた2億のやつが1番いいなあ
2億なんてどうやって用意すればいいんだろう
いつもなら絶対無理だと思ってすぐに諦めるのだが今回は違った 金が必要だ
銀行貸してくれるかな?無理だ私の収入だといけて2社で800万くらいだろう
稼ぐしかない でもどうやって
それからモヤモヤしながら2週間が経った
仕事が終わり香里はいつものように散歩に出かけた
川沿いをどうやって稼ぐか考えながら歩いていると前方からいつもの老夫婦がみえた
香里「あれ おばあちゃんしかいない」
すれ違い様に話しかけてみた
香里「こんばんわ 今日は旦那さんいないんですね」
おばあさん「こんばんわ 実は少し前に亡くなってしまったんですよ」
香里「 え あ そうなんですか それはご愁傷様でした」
やばいこといっちゃったかな
おばあさん「 ありがとうございます いつも2人で散歩してたからなんか寂しいわ もしよかったら 一緒に歩きませんか」
香里「いいですねそうしましょう」
そして川沿いを2人は歩き始めた
おばあさんと色々な話をした
意外にも話が弾んで香里は楽しかった
このおばあさんの名前は 生田まや
香里はまやさんと呼ぶようになった
それからというもの彼女達は川沿いで会うたびに一緒に散歩するようになった
香里「まやさん 連絡先交換しませんか
私仕事休みの日とかお茶でもしましょうよ」
まや「こんなおばあさんの相手するより若い人同士で遊んだ方がいいんじゃないのかい」
香里「私友達あんまりいないんで あとまやさんと話してるの楽しいですよ LINEやってますか?」
まや「 私も若い子と話せて楽しいわ LINEねーLINEはやってないのよ テレグラムはやってる?」
香里「テレグラム?聞いたことないです」
なんだそれ 年配の人達が使うやつかな?
まや「テレグラムかシグナルなら交換できるわよ」
香里「どっちも知らないです 普通に電話番号にしときますか」
まや「ごめんね電話番号は私もってないのよ」
なんじゃそりゃ 香里は困惑した
とりあえずその場は私がおばあさんの言っていたアプリを家に帰ってからダウンロードして次回会った時に交換することにして解散した
その日の夜 暇になった香里はまやの事を思いだしアプリを調べてダウンロードした
そのアプリは匿名性が高くメッセージなども元のデータから消したりできるものだった
犯罪的な仕事をする人達のツールとも書いてあった
なんでまやさん こんなの使ってんだろ
不思議には思ったがさほど気にすることもなく爆睡した
次の日いつものようにきのこを加工してビンに詰める流れ作業を死んだ顔をしながらしていた
時計ばかり気にする
17時まで長いなー早く時間進まないかなあ
誰とも喋らず手だけを動かして もはや意識なんてものは存在しないかのように目の前のきのこを加工する
私はいつまでこんなことをしているんだ
職変えようかなあ でもまた一から仕事覚えて人間関係築くのもだるいし勇気がない
そんなことわ毎日考えながら働いていた
香里「あー疲れた 長かった ようやく終わりだ
そして明日は休みだ!」
また大きな声で独り言を言った
家に帰りジャージに着替えて散歩に出かけた
まやさんと会えるかなあ
川沿いは今日も気持ちのいい風が吹き抜けていた
あっ!
香里「まやさん こんばんは!」
まや「香里ちゃんこんばんは 会えたわね」
そして2人はテレグラムを使い連絡先を交換した
香里「まやさん なんでテレグラムなんですか?LINEとかじゃなくて」
まや「私も友達あまりいないんだけど数少ない私の友達がこのアプリしか使ってないからその人と連絡とるために使っているのよ」
香里「ふーんそうなんですね これでまやさんと連絡とれますね 今度カフェにでも行きましょ」
香里はご機嫌で家に帰った
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