僕の運命は人に決められた。
湊香あおと
第1話
今は到底考えられないことが当たり前だった時代。
そう、それはつい最近までそうだったけど、俺が変えたんだ。
おじいちゃんはそう言って目を輝かせた。
その目は今まで見た事がないくらい澄んだ空のようだった。
今日もおじいちゃんはいつも通り椅子に座って街を眺めている。
町長だからと言って働かない、動かない。起きてすぐに街を見回す事ができる椅子に座ってじっと眺めて1日が終わる。
でも、誰にもおじいちゃんは声をかけない。
みんなが一生懸命働いてるのに、何を考えているかわからないにこやかな顔でただ座っている。
今はこの街の年長者に野菜をいただいてしゃべっている。
この街は珍しい。
冒険者がなかなか出ない。
今は少なくなったけど、人を助けようと街を出ようとする人もいる。
みんな目指さないとかではない。
最終審査がある。
それは町長であるおじいちゃんと戦うこと。
もちろん怪我してはいけないので木刀だが、今までおじいちゃんに勝った人はいない。
実際お父さんはおじいちゃんに負けた。
でも、わたしは外に出たい。
この町が嫌いなわけじゃない。
都市に出られないわけではない。
ただ外に棲むことを周りの大人は嫌がる。特に年長者が。
わたしはおじいちゃんの孫だから手加減してもらえるわけではないし、なんなら普通の倍以上でコテンパンにされるだろう。
でも、わたし国を渡ってみたい。
絶対におじいちゃんに勝つために今日も練習する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます