19話・いつの間にか同意していました
「同意ですか?」
いつの間に? 同意した記憶は無い。首を傾げていると、ノルベールが苦笑しながら言った。
「きみがしていた恋愛ゲームだけど、あれに表示が出ていただろう?」
「表示?」
そう言われてみれば、確かゲームの本体が異様に熱くなって動かなくなり、
『ペアーフィールドにご案内します。▽行く? ▽行かない?』
と、いう文字が現れたことがあった。
「もしかして、あれが?」
「きみが選択しやすいように二択にしたんだ。もしも、そこで行かないを選択していたら、こちらの世界にきみが来る事はなかった」
ノルベールの説明に驚いた。彼は一度だけの許可を得て異世界召喚をしたと言った。もしも、あそこでわたしが行かないを選択していたら、こちらの世界に来る事は二度と叶わなかったのだ。仰天ものだ。
「と、言うことは、こちらの世界は恋愛ゲームの世界?」
「いや、違う。逆だ。あのゲームは、この世界を真似て作ったものだ。きみにこっちの世界に関心を持って欲しくて、俺が作った。そしてきみをこちら側に招いた」
「凄い。あのゲームを作ったのは、あなただったんですね?」
わたしは年甲斐もなく、あの恋愛ゲームにハマっていた。あのゲームには、恋愛云々だけではなく人間関係の複雑さも描かれていて、ヒーローのフィルマンに感情移入して応援したくなった。
ストーリーが兎に角良かった。心浮かれたり、悲しくなったり、泣きたくなったりした。小説を読んでいるような楽しさがあった。
その制作者が目の前にいる。わたしは興奮した。
「そうなると本物のフィルマンさまも存在する?」
「ああ。彼がモデルだ。会ってみたいか?」
「はい。是非」
ゲームの中でも彼は素晴らしい人だった。きっと本物はそれ以上に素晴らしい御方に違いない。今からワクワクしてきた。
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