第2話 スタート

羽前・山形城


俺は突然訪れてきた氏家守棟からとんでもない報を聞かされた。


「何?他大名家の家臣が一斉に秀吉に降伏しただと?」

「そのようです。しかもそれと同時に親睦を深めていた我らに宣戦布告。どうしようもございませぬなぁ。これは」

「ではいかにするのだ?」

「まずは武将を集中させましょう。各個撃破が一番よろしくないので」

「尾浦を取り壊すか」

「左様。物資を持ち出し山形に固めましょうぞ。あいにく周りには家臣に逃げられた弱小大名がいます。猿が来るまだには準備できようかと。一年も経てばできるでしょうな。なんなら攻め込むことも」

「少し飛躍しすぎだが、まずは防備だな。惣無事令など無視しても良い。もはや敵なのだからな。城の改修を進めよ。谷粕、頼むぞ」

そういうと傍に潜んでいた谷粕直家が返事をした。

「ハッ。殿のご期待に添えるように」


谷粕、氏家は頼りになる。だがな、他があかんのだ。我が家中は……


「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」

「「「誰もお主を呼んでないわ!」」」


うん。こいつが延沢満延。戦に関しては最上随一だが頭のネジが何本か抜けている。


「だがちょうどよかったわ。呼んではいないが。お主には兵の訓練をしてもらおうと思ってな。呼んではいないが」


「りょーかーい」


そんな学びした声に谷粕が突っ込む。


「もっとはきっとせんか!」


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