028-武器購入

いい依頼が見つかった。

最近、海賊の出没が増えている宙域があり、そこの海賊を殲滅してほしいそうだ。

アドアステラの索敵能力をもってすれば、それくらいは簡単だ。


「ここか」


そして次は、武器の受け取り。

私は銃なんか使ったこともないけれど、腰に下げてるだけで襲われることはないだろうから貰っておく。

店に入ると、老人の店主が出迎えてくれた。


「いらっしゃい.......ってあんた、この間の!」

「....もしや、あの船団の?」

「そうだ、あんたに抱えてもらって助かった....で、御入用かい?」

「ああ、品物の受け取りに来た」


私は引き換えコードをホログラムで表示する。

店主はそれを機械で読み取り、驚いた顔をする。


「へぇ、やたら高いカスタムだとは思ったが....あんたが使うのか?」

「そうなる予定だ」

「待ってな、取って来る」


店主はバックルームへと消え、その隙に私は店内を見渡す。

ファイスは外でお留守番だ。


「......」


年季を感じる店だ。

このSFな街並みには似つかわしくない内装で、古い写真のホロイメージや、擦り切れた紙の賞状、古びた銃や弾などが飾ってあった。

ここの店主はきっと、人生をそれに懸けるくらいには銃が好きなんだろう。


「ほらよ、こいつだ」

「.....!」


銃身は白く、グリップは青い。

サイトのようなものは付いていないけれど、これで本当に当てられるのかな?


「支払いは済んでるから、後はコイツの説明だな」


店主はこの銃について説明してくれた。

「RC-02F ニケ」という名称で、クロペル共和国に本社を構える武器メーカー「ナスティフ」の製造らしい。

対物能力はそこそこだが、対人戦では役に立つそうだ。


「撃っていくか?」

「是非、やらせてもらおう」


私は店主と共に地下室に移動する(店主は入り口に鍵をかけていた)。

そこには射撃訓練場があり、私は早速銃の試し撃ちをしようとした。


「お、お客さん、その持ち方はまずいぞ」

「...そうなのか?」

「.....もしかして、銃は初めてだったりするのか?」

「...お恥ずかしながら」


店主は軽く溜息を吐くと、私に銃の抜き方、構え方、安全装置の解除の仕方までを一通り教えてくれた。

お兄ちゃんが教えてくれた知識と少し違っていたけれど、それくらいは誤差だろう。


「じゃあ、撃ってみな」


店主が的を動かしてくれる。

私はそれを、教えてもらったポーズで撃ってみる。


「....あんた、腕前はいいな」

「そのようだな」


何故かは分からないけど、的にはしっかり当たった。

結構速い的にも、気づいたらちゃんと当たっていた。

もしかして、このマスクの機能かな?


「........あんた、これからも傭兵やるのかい?」

「ああ」


その時、店主が突然別の話を始めた。

文脈が分からないので、私はその話に応じる。


「あんたの銃の注文は、子爵家からだったしな.....あんたに預けたい銃がある、使ってくれるか?」

「いいが.....俺なんかでいいのか?」


いきなり重い。

この老人の大事にしているものだしな....


「....まあ気負うなって、助けて貰った恩みたいなもんだ」

「そうか」


私は頷く。

それなら貰っておこうかな。

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