035-宝物殿内部

それから数日後。

僕はグレゴルと対面していた。


『では、道をお開けします』

「ああ」


どうして僕がグレゴルと会う必要があるかと言うと、宝物殿にある惑星の様子が見たかったからだ。

いくつかはエリアス自身が保管するように命じたので、僕の記憶にもある。

だが、ほとんどは先代たちが勝手に溜め込んだ惑星なので、どの辺が琴線に触れたのか知りたくなったのだ。

僕はエリガードに乗り込み、宝物殿の中を航行する。


「エリスも連れて来たかったけれど」


宝物殿にある星は、生物の生存に適さない場合が殆どだ。

エリガードも改修済みで、エリスを載せられるスペースがくっ付いているが、今回は完全に無駄になってしまった。


「最初の星は.....」


エリガードはその星に近づく。

惑星J-22132と呼ばれるその星は、そのままの意味で恒星だった。

ただし、その色は......


「紫色かー.....」


赤色と青色の可視光が合わさって、紫色に見える。

濃い紫の恒星は珍しいのだろうか?

そう思って情報を見ると、単純に綺麗だったから持って来たらしい。

普通にその星系にある惑星に生命体はいたのだが、恒星が無くなったことで全部死滅したらしい。


「次に行くか.....」


とくに面白みのない恒星を放って、エリガードを次の惑星までワープさせる。

宝物殿は惑星と惑星の重力圏の間にベールが張られていて、それを通過できるのはVe’zに属するモノだけだ。

だから、次の星も理由はよくわかった。


「攻撃されている? 撤退するか...」


巨大な巣のようなものに覆われた星で、よく見てみればそれは銀色に輝いていた。

エリガードに、虫のような機械が群がって、レーザーで砲撃を加えていた。

もちろんその程度でエリガードのシールドを抜けるはずもなく、僕を乗せたエリガードは次の惑星へと移動した。


次の星は、分厚い雲に覆われていた。

サーモグラフィーで見てみると、どうやら火山脈が活発な惑星らしい。


「一応、降りてみるか...」


僕はエリガードを降下させ、雲の下へと降りる。

すると、シールドが一斉に反応した。

大気が超高温なのだろう。


「凄いな...」


地表面は火山と、それが吐き出すマグマに覆われていた。

どうしてこんな惑星に大気があるのかは分からないが、人間は生存できない程度の空気が存在していた。

エリスを連れて来なくて正解だったか...




次の惑星に向かおうとした僕だったが、リストで黒くなっている星を見つけた。

詳細を開いて、座標へワープする。


「これは......?」


ワープした先に、惑星はなかった。

ただ、引き裂かれた惑星の残骸があるのみだったのだ。


「リストが黒くなってから千年は経ってるようだな...」


大気がないせいか分解は進まず、地表面には人間が作ったと思われる構造物の廃墟が残っていた。

先代のトロフィー的な扱いで、結構大事に保管されていたみたいだが、僕には資源の塊にしか見えない。


「グレゴルは烈火の如く怒りそうだけど、ここも資源惑星にしておこう...」


僕は資源惑星の座標リストにこの引き裂かれた惑星の座標を放り込んでおいた。

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