126-緊急事態

さて。

毎回恒例、これから先どうするか、である。


「帝国の掌握は完全に終了したからな」

『生き残り、海賊の排除に成功しましたからね』


この超広大な領土を、維持・管理していかなければならない。

だが、同時に.....


「暫くは安泰だな」

『そのようですね』


敵と戦うよりは、考えることは少ない。

初めてここに来てから、考えてばっかりだったが、長いスパンで物事を決められるようになった。


「資源採掘はどうなっている?」

『現在、新規に62の星系のアステロイドベルトを探査・採掘中です。惑星開発は21の星系で行っております』


先住者が残していった都市や採掘設備を破壊して、軌道上の資源採掘ドリルを起動する。

そんな作業を繰り返しているのだ。

有機物の採取状況も良好で、天空騎士団にもう少し働かせなくても良くなるかもしれないな。


「月資源の採掘も上手くいっているみたいだな」

『はい』


月が持つ鉱物資源は多種多様である。

そして、


「高位の技術レベルの艦船も作れるようになるな」

『はい、今までの船の上位版ですね』


SSCには多種多様な船が存在するが、その中でも上位の船というものが存在する。

TechLevel(技術レベル)という概念でそれは表されており、今までの船はTL1に所属する。

現在、ブループリントのアップグレードによりTL2の船まで開発可能になった。

そして、これから先はTL3の艦船も。

TL10とかいう怪物の領域の船が量産できるようになった時、最早俺たちに敵はないだろうと、十分な経験をもって俺は断言する。


「それから、新兵器についてだが」

『現在はタウミエル・マルクトの開発を行っております。それから、』

「アザトースだろう? ナージャとの共同開発だし、気合い入れてやろうな」

『はい』


新型兵器『アザトース』。

完成すれば、戦場における行動艦の中では最強となるだろう。

ネタ的な側面の強いマルクトや、既に兵器自体は戦場に出ているタウミエルとは違い、戦場を一隻だけで大きく変えられる可能性のある船だ。


「次は、人的資源だな」

『各方面から確保してきた人材を再教育中です』


各方面(攻撃した場所)から確保(拉致)してきた人材(現地民)を再教育(洗脳)して兵士にする。

非人道的なやり方だが、裏切られるのは面倒だ。

オーロラなら、一人一人のパーソナリティに向き合って、心を折って書き換える事が出来る。

悪いようにはしない、アットホームな職場だからな。


「天空騎士団とは別に部隊を編成する必要があるな、名前はどうしようか.....」

『SAS等はどうですか?』

「.......実在の空軍はちょっとな」

『シンよ、ならばロイヤルエアフォースというのはどうじゃ?』


その時、ディーヴァが話しかけてきた。


「成程、ロイヤルエアフォース....RAFでラフだな」

『それにいたしますか?』

「ああ、そうしよう」


俺は頷く。


「それにしても、かなり冒涜的だな?」

『何がじゃ?』

「帝国の皇女様が、俺に王宮騎士の名を提案するとは」

『帝国は妾一人になったのだし、誰が王を名乗ろうと勝手じゃ。おぬしが王でよかろう』

「....そうか」


まあ、国民が一人の王国くらいなら、王を名乗っても構わないか。

元より俺は星空の王として認知されている、RAFも全く問題なく名称に指定できるだろう。


「マルクト、楽しみか?」

『妾は、シンと共にいられるだけで幸せじゃ』

「なら、構わないか」


俺は頷く。

そしていい感じに締められたな、と俺が思ったとき。


『司令官、大変です』

「どうした?」

『イルエジータの南西の大陸の上空で、スワロー・エッジの反応がロストしました。乗員であるルル様とは脱出の連絡が来ましたが、直後に途絶、行方不明です』

「何だって!?」


俺は叫んだ。

とんでもない事になったぞ、これは....

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