シーズン1-クロトザク戦線
021-戦争
「状況報告!」
俺はオーロラにそう命じる。
採掘艦隊が今どのような状態にあるか見極めなければならない。
『現在C-22採掘艦隊は、緊急ワープに移行しています』
「ワープ妨害は?」
『検知されませんでした、ただしアーマーの耐久力が21%低下』
「何があった? 詳細に報告しろ」
採掘艦の硬いシールドを突破するとなると、それなりの脅威と判断していいだろう。
『......先程、採掘モードを起動してアイスベルトで採掘中の艦隊に、所属不明の艦隊が接近し、未知の言語で数度の警告がありました』
「なるほど、採掘モードということはエクスカベーターか」
エクスカベーターという採掘特化艦は、航行モードと採掘モードを切り替えるタイプの艦種だ。
航行モード中は採掘行為が一切できない代わりに、強力なシールドを得る。採掘モード中はシールドが展開できない代わりに、採掘能力が大幅に増加するのだ。
恐らく、採掘モード中に奇襲を受け、航行モードに変遷中にアーマーにダメージを食ったのだろう。
「星系を封鎖したと思ったんだがな」
『恐らく、同星系に存在する国家所属の艦船でしょう』
なるほど、オーロラが工城の建設を提案するわけだ。
もしこの国家がこちらの位置を嗅ぎつければ、全面戦争の始まりだからだ。
今回の相手は大したことなかったが、相手が惑星級旗艦を持っていれば少し危ない。
「もう位置を特定したのか?」
『はい、特殊工作船プロトスカウターにより、航跡を辿る形で本星を発見しました』
「なるほどな」
『直接攻撃しますか?』
「...いいや、それは悪手だ」
敵の規模がわからない。
だいいち、敵の艦隊がこの宇宙中に散っているとしたら、本星攻撃は包囲陣を形成される要因にしかならない。
「本星を直接攻撃するより、勢力域を本星のみにまで追い詰める方がいい」
『成程、軌道上に基地を建設し、宇宙に出られないようにするのですね』
「その後は軌道攻撃で指揮系統を破壊し、オーロラの言う通りにしながら国民共を奴隷化して使役する、という計画だ」
資源の塊がわざわざ向こうから噛み付いてきてくれたのだ。
多少胸が痛むが、こちらに刃を向けた以上は、それくらい視野に入れて貰うべきだからな。
「というわけで、まずは星系内の掃除からだ」
『わかりました。出航可能なプロトスカウター全艦を用い、当該惑星のモノと思われるアウトポストや採掘拠点、領有装置などを発見し、記録します』
「なるべく交戦は避けろ。相手にはこちらを見縊ってもらわないと困る」
なにしろ、あの星がただの駐留地か植民地か何かで、異空間なり別星系なりに本星があったりなんてしたら、悪夢そのものだからな。
完全に情報戦を掌握できるまでは、俺の指揮で慎重に動くべきだ。
そうと決まれば、まずは復旧状況の確認からだ。
俺はモニターを開き、Noa-Tunの状況を確認する。
ホールドスター 『Noa-Tun』 状態:係留 惑星軌道上
◇物資倉庫 状態:『平常』
◇修理ベイ 状態:『平常』
◇マーケットベイ 状態:『切断』
◇ドローンベイ 状態:『平常』
◇加工施設 状態:『平常』
◇研究施設 状態:『平常』
◇居住区画 状態:『平常』
◇弾薬庫 状態:『平常』
◇小型艦艇ドック 状態:『平常』
◇中型艦艇ドック 状態:『平常』
◇大型艦艇ドック 状態:『小破』 修復中
◇旗艦級ドック 状態:『建造中』
◇戦闘指揮所 状態:『平常』 拡張中
◆シールド 100%
◇シールド発生コア 状態:『平常』
◆アーマー 100%
◇アーマーリペアシステム 状態:『建造中』
◆HP 100%
◇オービタルコアシステム 状態:『稼働中』
◆非常電源残量:100%
◇セントラルコアシステム 状態:『稼働中』
電力バランス:正常
居住区が復旧したか。
これで幾つかの設備が復旧......医務室や大浴場、後まともなベッドが使えるようになるわけだ。
そして大きいのは、中型艦艇ドックが完全に復旧した事。
これで中型の中でも大きい船をドッキング解除できるようになる。
もっとも、ノーアトゥーン最終防衛戦で戦闘艦が全部出払っていたので、まだ装備を取り付けていなかったり、修理中の船くらいしか戦闘艦は無かった。
「まあいい」
何も戦闘艦だけが最強というわけでは無い。
戦争とは、情報と物資がモノを言う。
より多くの偵察艦とより多くの採掘/採取艦で資源を集め、工城にて艦を生産するのだ。
さあ、勝つぞ。
絶対に。
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