第28話春めいていた加茂川縁

 神戸から京都までの遠恋なんてムリだったんだよ。


 余所余所しい隙間風が僕の髪をなぞる。


「じゃあね。連絡してね。」


そそくさと席を立って言い残したサヨナラの連絡?


 明花は義理を果たしたとばかりに踵を返した後は振り向かなかった。


 アノときは・・・。


川縁に座った2人を眺めながら歩く若い夫婦やランニング中の学生達。

桜の花弁が舞う加茂川・・・。


 人通りが途切れた瞬間を見計らい明花の頭を抱き引き寄せるとスローモーションの様に此方へ傾く明花。

 両目を瞑っていた。

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