転生者ですが、転生者捕縛するお仕事始めます!
佐倉那都
プロローグ
――ドォン!!!
突然聞こえてきた轟音。その衝撃の余波が馬車を揺らす。
揺れに耐えきれず、座席から浮いた体を支えてくれたのは幼き頃からの親友だった。よろけた体を冷静に受け止めた彼だったが、実際は怒りで気が狂いそうになっていることは、色素の薄い全身が僅かに赤く染まっていることから容易に想像が出来た。そんな彼の背を優しく叩く。この空間にいる人間は皆同じ気持ちであると、そう伝えるために。
「……ハ」
だが、どうにも嘘がバレたらしい。
鋭い犬歯がはっきりと見えてしまうほどに口元を歪めた彼に、こちらも同じような表情で返す。言葉は必要なかった。互いに視線を窓の先へと移す。いくつも立ち昇る黒い煙に、拳に力が入る。食い込む爪の痛みは、高揚感にかき消された。
(待ってろよ、転生者ども……!)
必ず。
必ずや。
我らに害なす全ての転生者を牢の中へと。
「はっははは……!」
赤い髪の少年は高らかに笑う。
再度鳴り響く爆発音に、少年は更に笑みを深くするのだった。
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