過去の思い出2

「アトラ!殺気を引っ込めろ!」


「お父さん……それ……本気で言ってます?」



何かを察した父さんは意を決したように俺に色々言ってきた。



「アトラス。

お前は妹のアリアナを守りたいか?

守りたいなら言葉に惑わされるな。

俺にはお前達二人とも大事な俺の子だ。

もしあれがアリアナに何かすると決まったとして7歳になるまであればアリアナの為の荷物を全て用意する。」


「あぁ?

つまり僕の妹は一度僕達の手から離れるって言いたいんですか?

それでも父親ですか!?

僕達が大切だと言いながら僕にとって大事な片割れの妹を囮にしろって言うんですか!?」


「お前の言いたい事はわかってるつもりだ。

だがなアトラス。

それだけで大事なもんは守れねぇって分かるだろ?

力をつけろ。

大事なもん守れるほどの力を絶対手にしろ。」



その一言で俺の中の何かがキレたんだよなぁ……。

いい子じゃだめでイイコのフリをしろって言われてるみたいでさ……。

腹の探り合いに慣れてしまえとかそんな感じにも受け取ったりしたなぁ……。

それから父さんの前と信頼出来る使用人には砕けた口調で言えるようになったけど……。

僕から俺にしたのにさ……。

怒った時になかなか僕ってスムーズに言えなくなったんだっけ……。



「じゃぁさ。

僕……じゃなくて俺って言っても問題ないよね?」



にこやかに笑顔を作るけど決してわらってりようにはみえない仮面が初めて現れた。



「……っ!……アトラス……お前………。

やめろ!

お前にそんな顔させたくて言ったんじゃない!

お前が俺達よりお前の片割れの妹がとても大事なのはよく分かったから……。

俺の前だけでもいい……。

お前がそんな顔をするな……。」



父さんの顔がとても苦しそうな懇願するような……。

父さんの悲痛の叫びにも聞こえた……。

でも戻し方分からないんだよ……。

仮面ならいくらでも作るよ。

大事な片割れを守れるなら。

俺は傷つかないよ。



「父さん……。

もう……遅いよ。

俺は4歳になったし、理解出来ない子供じゃないんだよ。

そういう風に俺を変えたのは……父さんと母さんだよ。

俺から……大事な片割れの妹を取り上げた人たちのせいだよ。」


「わかってる。

そして俺がお前たちにどう接していいか分からず臆病なのも……。

こんな父親は嫌いかい?」


「……うーん。

どっちでもないよ。

俺は見守るよ。

もし時が来た時に片割れの妹が幸せになれないなら壊す事も考える。」


「……アトラ。

よくわかった。

親としてお前に誓おう。

俺と大事な娘のそばにいるばぁやだけは信じてくれ。

決してお前達二人を不幸にしないと約束しよう。

あれと結婚したのは間違いだったと認めよう……。

だけどな……。

お前の妹はすごく可愛いかったぞ。」



最後に父さんが片割れの妹の事を言ってくれた時優しく微笑んでくれたその顔が親の顔だった。

それだけで答えは出た気がした。



「じゃぁ父さんと父さん側の使用人のうち信用できる人にだけ今のままいるよ。

母さんと呼ばなくて済む日までは良い息子を俺は演じる。

これは変える気ないから。」



小さく息を吐いてから何かを決断した父さんが俺に足りないものを教えてくれた。

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