出来損ない冒険者に転生した俺は、没落王女の護衛として成り上がる ~ 気が付けば常に王女が隣にいるのはなぜだ?
煙雨
第1話 王女との出会い
異世界。
誰もが一度が現実逃避をしたことがあるだろう。その時、真っ先に思いつくのが異世界に行ってみたい。でも現実は、異世界に行けるわけるわけがない。
そんな夢見た異世界に俺は転生してしまった。だけど勇者などの特殊キャラではなく、出来損ないの冒険者としてだった。
★
「ダイラル‼ 何をやっているんだ」
「ごめんなさい」
目の前でパーティに加えてもらった仲間がゴブリンを倒して、俺に怒鳴り散した。
「謝ればいいわけじゃねーんだぞ。これだから出来損ないは……」
「ごめんなさい」
俺---ダイラル・エリクソンは出来損ないということで、冒険者の中で一二を争うほど有名な存在であった。
「まあいい。ギルドに戻ったら話がある」
「う、うん」
パーティリーダーに加えた仲間三人が蔑んだ目でこちらを見つめてくる。
(俺だってみんなの役に立ちたいよ……)
そう思いながら、仲間と一緒にギルドへと戻って行った。
冒険者ギルドは、前世で言う武道館ほどの大きさがあり、外装と内装を含めて派手な構造をしている。
俺たちがテーブルに座ると、パーティリーダーが俺に言う。
「お試し期間で試してみたけど、やっぱり仲間に加えることはできない」
「そ、そっか……」
うすうすと分かっていた。戦闘面では役に立たず、冒険の補助としても使い物にならない。
そんな奴を仲間にしてくれるほど、お人よしの人なんていない。
「案外、あっさりと引き下がるんだな」
「まあ、しょうがないですし」
最初にパーティへ入れてもらえなかった時は、正直こたえた。だけど、何度も同じことが続くと慣れてきてしまう。
「はっきり言うぜ。お前、冒険者に向いていないわ」
「あはは。ありがとうございました」
俺はパーティメンバーに頭を下げて、依頼書が貼られている掲示板の場所へと向かっていった。
冒険者に向いていない。そんなことは分かっている。だけど、俺には冒険者しか道はないんだ。
俺の胸には紫色の紋章がついている。これを治す手立てを探すためには冒険者としてやっていくしかない。
お金さえあれば調査をしてもらうことも可能だろう。だけど、そんなお金があるはずもない。
(なんで、こんな存在に転生してしまったんだよ……)
異世界転生するなら、もっと楽しい人生を謳歌したかった。
そう思いながらも、薬草採取の紙を手に取り、受付嬢に渡してこの場を後にした。
薬草は、国を出て近くの森に行けば安全に採取することが出来る。だから、低級冒険者の誰しもが受けたことのある依頼。
一点問題点があるとしたら、安全に依頼をこなすことが出来が一方、採取する場所にはモンスターもいるということ。
(まあ、危険じゃなければ依頼なんてされないよな)
ため息を吐きながらも、俺は近くにある新緑の森へと向かっていった。
国を出て三十分ほど歩いて、新緑の森へとだどり付く。
(何度来ても、緊張する)
どこから攻撃されるか分からない状況。怖いに決まっている。だけど、やらなければいけない。
覚悟を決めて、薬草を探し始めること一時間。やっと依頼された量の薬草を入手する。
(今日はそろそろ帰るか)
一息ついてから新緑の森を出ようとした時、モンスターの叫び声を耳にする。
(……)
早くこの場所から離れなければと思い、音を立てずに歩き始める。
すると、運悪く道中で数体のゴブリンが傷だらけの金髪女性を襲おうとしていた。
(ヤバい‼)
体が勝手に動いて女性の目の前に立つと、ゴブリンたちは俺に殺意をむき出しにしてくる。
「俺が時間を稼ぎますので逃げて下さい」
「え……」
女性が声を発した時にゴブリンが攻撃を仕掛けてくる。俺はすぐさま、腰に下げている剣を引き抜いて反撃する。
一体目のゴブリンを倒すことが出来たが、後ろからの攻撃に対処することが出来ず負傷する。
無理やり立ち上がり、剣を構えると、突然胸が苦しくなる。
(なんで今なんだ……)
激痛と共に、手に持っている剣が日本刀に変わった。
(なんだこれは?)
ゴブリンたちが一斉に攻撃を仕掛けてきたが、先ほどよりも数段遅く、一瞬のうちに倒してしまった。
そして俺が後ろを振り向いた時、女性は驚いた表情でこちらを見てながら手を握ってきた。
「やっと見つけた」
「え?」
「私の護衛になってください」
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