最高の娯楽
6/10
この世のあらゆる娯楽を遊び尽くした大富豪が、退屈に狂う中で殺人に手を染め……という漫画を読んだ。
あらゆる娯楽の先にある最高の娯楽とはなんだろうか。
まさか殺人ゲームではないだろうと思うが、自分で想像してみてもパッと思い浮かばない。
マクドナルド法という話術をインターネットで見たのを思い出す。
夕食の店が決まらない時、とりあえずマクドナルドの名前を出せば議論が進むという話だった。
直近の、最も楽しかった娯楽を比較対象にして考えてみる。
深夜、友人と近場のレンタルビデオショップに行ってぶらぶらと洋画コーナーを散策し、コンビニで駄菓子とビールを買って帰った。
借りた映画は『バタリアン』と『ハムナプトラ2』だったが、『バタリアン』を観る前に寝落ちしてしまったので結局『ハムナプトラ2』しか観ていない。
あの夜は、楽しかった。
自分の人生を思い返す。
思い返すが、泥酔してゲラゲラ笑いながら観た『ハムナプトラ2』より幸せな記憶が思い浮かばない。
絵画コンクールで賞を取った時、志望校に合格した時、初めてガールフレンドが出来た時、初任給で親に居酒屋を奢った時、どれも『ハムナプトラ2』の足元にも及ばないのだ。
『友人と泥酔しながらハムナプトラ2を観る』という行為は私の人生のなかで燦然と輝いている。
別にハムナプトラシリーズはそんなに好きな映画でもないのだが…。
これは娯楽に限らないが、その人の生きて来た文脈の問題だ。
一流シェフの繊細な味わいのディナーよりもビッグマックセットポテトLサイズの暴力的な味わいの方が美味しいというのは一面で間違いではなく、その価値観に良し悪しはないと思う。
「とりあえずマクドナルドでも行く?」という問いがそのまま答えになってしまう場合だってあるのだ。
『最高の娯楽』を知っているなら、私にも教えて欲しい。
私のオススメは前述した通りである。
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