餌やり
5/4
アルバイトの休憩時間、近場の公園のベンチで菓子パンを齧っていた。
職場には休憩室もあるのだが、狭くてタバコ臭く、多少の人の出入りもあるので落ち着かない。
マネージャーでも来て将来への展望でも述べさせられた日には休憩どころの話ではない、
そんなわけで、私はよく近場の公園のベンチで昼飯を食べている。
だいたいは賞味期限ギリギリの割引の品を見繕う事にしていて、今日はメープルシロップを挟んだパンケーキを食べた。
ふと、足元に目をやると、蟻が数匹、うろうろと歩き回っていた。
私は生き物全般が苦手なのだが、足元を歩いている蟻程度で騒ぐほどでもない。
思い立って、パンケーキを一欠片、足元に落とした。
しばらく眺めていると、蟻が数匹集まってきて、神輿のようにそれを抱えてどこやらの巣へと消えていった。
少し徳を積んだような気分になる。
私は餌やりは好きだ。
ペットなど一生飼わないだろうし飼おうとも思わないが、出先の観光地で鯉の餌が売っていたら思わず買ってしまうし、北海道の水族館に遊びに行った時も有料の小魚を投げ入れて遊んだ。
餌やりは良い。
何の責任もない一方的な施しである。
感謝など要らない。
仮に餌をやった鯉から感謝の手紙が届くなら、私は二度と餌やりなんてしないだろう。
上位存在として、気まぐれに、一方的な自己満足として施しを与えることが快感なのである。
私はウルトラマンにはならない方がいいだろうと思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます