第29話 隣国『ネルド』(8)

「あれ、レベル100ぐらいが適正の相手ですよ。倒せればあっという間にレベルがあがりますね」」


 アオくんは上空のプテラを睨んでいる。


 そもそもの話、こんなところで負けてられない。

 私のできることを考えた結果、土壁をつくり姿を隠し、チャンスをうかがう。上空から狙われた場合、私がひとたまりもない可能性が高い。しかも、急所といえるであろう翼も私の武器でダメージが通るか確信もない。


「旅の護衛的にはなにかアドバイスはある?」

「ではこういうのはどうですか。僕が被害が拡大しないための防壁をキャンプ場に展開します。そのうえで、キャンプ場の人たちに僕たちが目撃されることを防止する魔法をかけますので、自由に立ち回ってみてください。武器から対象へのダメージが通らなければ、武器のカスタム等、できることを考えてみてください」

「私はともかくとして、アオくんの立ち回りを見られると、面倒な事になる可能性があるってことだよね」

「ご明察です」


 そう言い天を仰いだとおもったらちょっとした光の変化がキャンプ場全体を包む。きっとこれが防壁。それが終わった時点でこちらを見て指をくるっと回す動作をするとステルスというか光学迷彩というかそういう状態が私たちに付与された、らしい。


「思う存分、思いつく限り戦ってみてください」


 その言葉に頷くと、銃身がぶれないようにしっかりホールド、まずは翼を狙ってみる。おそらくはこの銃弾ではダメージは通らないだろうから、本当であれば一撃必殺といきたいところだけれどもきっと無理だろう。


 それでも、アオくんの防壁を信じて撃つ。


 問題なくヒット

 

 しかし、想像通りというか、残念なことに無傷かつ銃弾は跳ね返り、効果はやっぱりない。

 

 次は銃弾を吹き矢のような形に改造し撃ってみる。

 やはりヒットはするがかすり傷程度でダメージは殆ど見受けられない。

 

 プテラたちはこちらの”姿を隠す魔法”のおかげか、銃弾のダメージが軽微すぎるせいか、こちらの場所には気がついていないようで、キャンプ場を襲うべく、上空旋回を続けている。


 しかし、この状況でもアオくんはまったくもって余裕そうだ。

 私ひとりであれば、手も足もでずにあっという間にやられてしまっているような状況だ。

 

 何をしたら今の私の技量でダメージが通るのか。


 今の手持ちで使えそうなものは【地】属性魔法と【雷魔法】。

 石礫で狙おうにも的が早すぎる。

 となると、戦えるのは【雷魔法】。実はまだおそろしくて全力で撃ったことはない。そして目標を定めて雷を撃てるほどの技量もいまはない。となると一番間違いなく的を射ることができるのは銃しか考えられない。

 銃に微弱な雷を纏わせることはやったことがある。だだ、大きな力を加えると多分銃身が持たない。

 

 どうする

 どうする

 

 こんなに私が悩んでいるというのに、アオくんは先ほどとは一転余裕の表情でニコニコしながらこちらを見ている。

 かわいいけど、ひどいぞ少年。


 そうだ、魔法の練習の時に使用した枝のかわりとして、この銃身をつかった場合、雷の方向を指示するということで使えないだろうか。


 とりあえず、やってみるしかない。まず、銃身を肩で固定、プテラの飛行ルートを把握する。


 多分、私の魔法の技量を考えるとある程度のダメージが当たった場合こちらの場所を知られることとなるため、一撃必殺以外は詰みと考えるのが正解。


 タイミングを見計らい、一発勝負となるが、雷の速度は銃弾の速度を超えること、熱も発生するため、しっかりうまくいけばダメージがある程度通るはずだ。


 よし

 いける

 いこう


 タイミングはばっちり、今だ。

 最高のタイミングで、引き金を引いた。

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