第5話 異世界の君、家を点検する(2)

 家の中を個人居室以外の部分をあらかた見て歩き、問題がないことを確認する。

 とりあえず、生き物を飼育していることから環境の変化がないようにしなければいけないという点では本当に問題が山積という認識となった。

 

 そして、アオくんがこの世界で覚えておいた方がいいことのレクチャーを開始してくれる。剣と魔法の世界ということで、自分のステータスもVRのように見ることができるらしく、ゲームの世界に迷い込んだようで結構楽しい。

 ただ、魔法が主におかれていて、剣や槍、弓、徒手空拳もあるにはあるが、基本魔法および魔力を纏った武器で戦うことが主となっていること、魔力が少ない人は外に出ても戦えないことから基本一生を同じ国の中、同じ街で過ごす傾向があることも教えてくれた。


「では、チーズさん、ステータス確認のやり方を教えますね。みんなこれを『ステータスボード』と呼んでいます。たまに大幅にアップデートされたり、機能が増えたりしますが、その都度慣れてください。そして確認方法ですが、人それぞれやり方はあるとは思うんですが、一番簡単なのが親指と人差し指を合わせるコマンドです。経験を積めば考えるだけでできるようになりますよ。チーズさんには息を吸うようなレベルでステータスの確認を行える素養が備わっているのですが、これができるのはこの世界でもほんの一握りであることを覚えておいていてください」

 そう言うと、ジェスチャーで普通に親指と人差し指があわせるような感じで教えてくれたのでこれ、芸能人がよくやるハートじゃないのと思いつつ真似してみたところ、自分のステータス?がVRのように浮き上がった。


 チーズ

 LV.1

 HP:50

 MP:20


「クッソ貧弱じゃん!レベル1ってなに!!」

 私の人生の今までの積み重ねは一体どこへ行った。そう思ってがっかりしていると、アオくんが補足してくれる。

「今まで元の世界で積み重ねてきた経験は別に経験として残っていますから、強くてニューゲームとか転職とかそういう感じで捉えてもらって大丈夫です」

「なに、私のもといた世界のことにあなた詳しすぎない?なに?あなたも私の世界からきたの?」

「お答えできません」


 ガード堅。


 そして、詳細ステータスは親指と人差し指を2回重ねると見れるというので、実際試してみる。

 

 スキル:合成

     時間干渉

     ????

     ????

     ????

     ????

 

 魔法属性:雷、土、召喚、????、????、????、????


 ????はレベルがあがらないとわからないっぽいそうだ。

「珍しいスキルと魔法属性ですよ。レベルが上がればいろいろできることが増えてくるとは思いますよ。」

「なに、外いってモンスター倒したりするの?私職業的に武器の装備は農具だったりするのかな。農機とか。」

「どうして思考が農機に飛ぶんですか」

「やっぱりメジャーどころでいくと鎌だったりするの?狩猟免許も役にたったりするのかな」

「後で何が使えるか試してみてください」

 なんか少年に、あきれたような声で微妙な顔をされたようなきがしたけれど、気にしないことにした。


「じゃあ、まず最優先にやらなければならないことをやりにいきましょうか」

 そうだね、と言いアオとと連れ立ち、改めて牛舎の方へ向かった。

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