第34話

「すみません、社長…旅行の件は、お断りします」


翌日に社長室に乗り込んだ。


「旅行…?」


あれ、聞いてない?


「奥様から提案されて」


「…お断りということは、一緒に旅行するという話だったのですか?」


「はい」


「…よくわかりませんが、断って頂いて構いませんよ。伝えておきます」


なんだ。私だけあたふたした。


社長室から出ると、ピーチがいた。


「…いじわるされたの?」


「なにそれ」


「だから、いじめ!」


「されてない」


「じゃ、何の話?」


「…歌手?」


「は?なにそれ」


「社長の奥さんが私をプロデュースするから」


「え、それってまじで言ってたわけ?てゆーかなんで私じゃないわけー!?」


そんなこと言われても。


「そういえば、金髪のモデルさんがピーチと仲良くなりたそうだったよ。私生活知りたいみたいな」


「…は?誰それ」


「私もわからない。…ピーチは全然モデルさん覚えてないの?」


「それ、ブルーベリーでしょー?」


「覚える必要ある?」


「ないね!別に仲良しこよしじゃなくていーしー?じゃ、さっさと準備しなくちゃ」


心配してるんだか、どうなんだか。

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