第23話 バトロワ終了とライバル宣言

 レリアを信じてブレスを放ったが、内面冷や汗ものだった。何せ稲妻属性のブレスなのだ…氷や水、雷のブレスとは文字通り火力の桁が違う。


 そんな不安に駆られたが、レリアが俺の元まで飛んできた事でその不安も無くなっていく…レリアが耐えれた理由はおそらく今もなおレリアが纏ってるバッキバキにひび割れたガラスの様な膜だろう…俺の知らない魔力で出来てるし、操作も出来ないからまさか別の召喚獣が居るのか⁉︎とは思ったがレリアとの繋がりの途中で稲妻属性の魔力がその知らない属性の魔力になってる事からなんとなく分かった。


 理由は分からないけど繋がりが一度切られかけた事と関係してるのだろうか?レリアにちょっと聞きたいとは思うけどそれはどうやら今は難しいらしい。


「ごめんねリファル…私が足を引っ張っちゃって。でも、もう自由にして良いよ…あと散々足引っ張った後に言うのもアレなんだけど…ちょっと休ませて…」


 そう言ったレリアは俺の側で寝に着く…恐らく身体が限界だったんだろう…塔に登る時に獣化を使ったのもあるが、身体がボロボロの状態でありながら身体に負荷が掛かる獣化を使用したのが大きいのだろう…なんとも無茶をする物だ。俺のために行動してくれたのならば凄く嬉しいとは思うが。


 寝ているレリアを氷で俺の背中に固定し、移動をする。ここはレーナ皇女と戦ったせいで長居は出来ない…漁夫の利を狙う奴が居てもおかしくないのだ。


 その移動途中に、レリアに俺のもう一つのユニーク属性…恐らく稲妻属性がSユニークならばこちらはユニーク、つまりは人個人が持つ属性をレリアに使う。


 その属性の名前は【治癒】。性質は再生・回復・浄化・異常完治・修復の計五つ、恐らくフェニックスが持っているであろう属性だ。

 そんな属性を使った回復を施しているため、レリアの身体にある傷はみるみる治っていく。そして程なくして完治する。とは言え寝てるレリアを起こすのはしのびないので、そのまま背中に固定しておく。


 レリアからは自由のして良いと言われた…ならば存分にレリアの為に動こうじゃないか。

 突っかかってくる生徒達は魔法でねじ伏せ、俺自身の身体はそこまで動かさない様に徹する。やはり睡眠は安らかに取るべきだと思う。


 途中で神凪・リライ…あの中性な公国の首席とも出会ったが、あれは発展途上と言った感じだった…地水火風の四属性を使っていたけど、戦闘技術はレーナ皇女以下だし、魔法の腕もレリア以下だ。


 とは言え大半の召喚獣が地水火風の内のどれかの属性持ちである事が多いという点を見れば、地水火風の四属性持ちは他生徒に対しての特攻持ちと思っても良いだろう…何せ地水火風全ての属性に耐性を持ってるのだから。


 …まぁ俺やレリア、レーナ皇女みたく氷や雷、ユニーク属性を持つ存在に対してはどうしても弱くなってしまうが。そこは将来に期待と言った感じだった。と言うか四属性も扱いきれない!と言った雰囲気を感じた。


 そんな感じで生き残っていった。途中でレリアが起きて、身体が治ってる事に不思議に思いながらも生徒を倒していき、結果は無事に一位を取ったのであった。


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「流石はレリア王女です!まさか雷光の名で通っているレーナ皇女を打倒し、一位になるとは!」


 …今現在、俺とレリアは観戦席に居る。一年生によるバトルロワイヤルは何事も無くレリアが一位となって終了した…だからこの後にある2、3年生の部を見ようと思って観戦席に来たのだがそこでライ、ライ………ライリー君?に絡まれている。レリアが。


 ライリー君はこんなでも侯爵家の子息、適当にあしらうのも出来なくてめんどくさいのだ。出来れば今から始まるバトルロワイヤルに放り込んでおきたいくらい。レリアもそう強く思ってるらしい、繋がりから非常に嫌という感情が感じ取れる。


 そんなライター君に辟易としていた所に、1人の金髪の女子生徒が近づいてきた。


「レリア王女」

「………どうしました?レーナ皇女」

「宣戦布告をしに来たわ。ランキング一位の座に座った貴女を引き摺り下ろすのは私だから。…精々首を洗って待ってなさい!私が全身全霊を持ってしてどんな策でも打ち破ってやるんだからっ!」

「…私だってもうリファルに頼り切りで居るつもりはありませんからどんどん強くなりますよ?レーナ皇女が勝てなくなる程に」

「言ってくれるじゃない…でも良いわ!むしろその方が倒し甲斐があるってものよ!」

「分かりました…それなら私もいつでも全力でお相手しましょう。絶対に負けませんからね?」


 …良いね、こう言うのは。何やら青春の1ページ目感があって大変素晴らしい。にしてもこれはライバルが出来たと言った感じなのだろうか?今はユニーク属性があるから大丈夫だけど、もしレーナ皇女がユニーク属性を覚醒できたらどうなるんだろうか…割と楽しみかもしれない。


 ちなみに会話に割り込もうとしたライザー君は俺が割り込んだら殺すぞという強い意志と共に睨み付けたらピタッと固まった。うむ、常にその状態で居てくれ。


「それはそうとレリア王女、私を打ち負かした貴女と共に観戦しながら反省会とかしたいのだけれど…良いかしら?」

「ええ、もちろんよろしいですよ。ここは人が多いですし、どうせなら静かに話せる場所に行きましょうか」

「助かるわ!実は身分もあってどうしても皆畏まっちゃうから…」

「あぁ、分かります…やはり皆さん一歩引いてますよね…私的には有難いのですけれど」


 おや?随分と仲良くなるのがお早い…先程の戦闘とか宣戦布告とかで何か思う事があったのだろうか?あまり人と会話したがらないレリアにしては珍しい…身分の高さも似ているのも関係しているのだろうか?でも是非ともレーナ皇女にはレリアの友達になって欲しい…まだ関わる様になってから時間は浅いが、悪人では無いのは分かっている。


 そんな感じでレリアのレーナ皇女の仲が良くなっていくのを見ながら観戦していく。ちなみにライナー君には着いてきて欲しくなかったからこそっと靴底を凍らせて地面とくっつけておいた。レリアとレーナ皇女の将来のてぇてぇの為に本当に来ないで欲しい。


 俺は居て良いのかって?俺は良いのよ、だって竜だし…レリアが離してくれないし…

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