第10話入学式

 そんな感じでわりかし平和で忙しくのない生活をしていると学園入学の日になった。実は入学の日も前世と同じで、こちらでも4月6日が入学式の日となっている。


 と言う事で現在、副校長からのありがたい御言葉を頂いている。こう言う時は校長が出てくるのでは?と思うかもしれないのだが、シオン学園の校長はずっと存在を秘匿されているのだ。


 聞く話によればシオン学園長はこの都市の核でもあるのだとか…だからこそ狙われる可能性が多く、校長の代理は副校長がするらしい。あと校長は人間では無い説とかもある…例えば不老種と言われてる亜人の吸血鬼や長命種である龍人や天人(天使人)、あとは喋れるほどに知能が発達した主無き召喚獣とか色々憶測が飛び交っている。


 そう言えば言い忘れていたが亜人と言うファンタジーの王道的な存在はしっかり存在している。

 人間とは一部見た目が違うのは良く想像できるだろう…それに加えて魔法を使える存在と言えば良いだろうか?


 いわゆる亜人と言うのは「召喚獣(魔物)と人の中間の存在」だ。流石に召喚獣ほどの魔力適正は無いにしろ、自身で操れる魔力を確保する事が出来て、人並みの知能がある感じだ。その代わりに召喚術は使えない…


 この学園でも亜人組と言う枠もある。一部亜人を除き、それぞれが非常に単独戦闘に特化してるために組対抗戦とかある時はかなり苦戦するのが普通らしい。



 かなり話がズレた…が、ちょうど副校長のお話が終わったらしい。この後は首席合格者と生徒会長兼学園ランキング一位の話を聞いて終わりだ。


「…男性でしょうか、それとも女性???」


 レリアが困惑するのも仕方がないと思う…と言うか一部の人たち以外はほぼ全員困惑してると思う。

 困惑の原因は壇上に上がった首席合格者だ。


 見た目は青い髪を長く伸ばし、片目を隠したショートボブ。瞳も青く、透き通ったその瞳はさながら氷河の青の様…チラッと髪の隙間から見えるもう片方の瞳は琥珀色に輝いており、オッドアイらしい。


 そして服装は和装だ。この学園の制服はその生徒の出身地(所属する組)によって分けられており、制服だけでもかなり特色があるのだが、その生徒の制服は立鳥帽子たてえぼしの無いアレンジした狩衣かりぎぬ


 最後に全体を見た印象は圧倒的な【中性】。ちゃんと人間ではあるはずなのだが、性別が全くわからないのだ。その服の中を見なければ性別が一切分からない…これがシュレディンガーの猫と言う奴だろうか。


 そんな風にみんなが困惑しているうちに公国の王子…王女?が、話をし始める。

 ………声ですら男性とも女性とも取れる声をしてらっしゃる。もし日本ならば「男の娘」か、「女の子」かで派閥が分かれそうなものだ。


「うーん?んー…えぇ?」


 レリアも非常に困惑している…男性恐怖症を軽く持ってしまってるレリアだからこそ、性別はしっかりと判別しておきたいだろうに。にしても本当にいるんだな、僕っ子…前世では二次元の存在か、作られたキャラだと思ってもんだ。いや、今俺が過ごしてるこの世界はそう言う世界だから居て当然なのだろうか?


「—————、これで僕の挨拶は終わらせていただきます。新入生首席、神凪・リライ」


 ある程度困惑が収まってくる頃に、神凪と名乗った首席は挨拶を終えて壇上を降りて行った。リライ公国…周辺国との繋がりが非常に強いながらも国力が非常に豊かで、王国や帝国に並ぶ強国とされている公国だ。


 そんな国の王位継承者が今回の首席、2位はフォース帝国の皇女、3位はレリアと…1〜3位を全て国が違えど王族が占めているのが今回の新入生なのだ。


 とまぁ、今後関わる事があるであろう重要そうな王族を知れたところで、生徒会長の挨拶も終わり、入学式を終えた所で新入生は教室へと赴く。


 ちなみにだが、生徒会長はレリアの姉だった。(あの人強かったんだ…)


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「—と言うことで俺がこのクラスの担任だ、基本的に学園関係での問題ごと以外にゃ干渉出来ないがよろしく頼むぞ」


 入学式が終わって、今現在教室にて担任と初の顔合わせをしている。担任の印象を言うならばカッコいい系のオジさん…イケおじ、と言う奴だろうか?決して間違っても二次元で出てくるキモめで不潔なおっさんでは無い。


 そして担任が言った「学園関係での問題ごと以外にゃ干渉出来ない」と言うのは、この学園に各国の重鎮の子息息女が集まる以上、政略が蔓延るのは必須であるため、中立を貫くためにも生徒間でのいざこざへの教員の干渉不可となっているのだ。


「お前らはプリモディア組のAクラスだ。BクラスやCクラスに落ちないように成績維持やランキング上位を目指すのを頑張るように…それぞれの自己紹介は必要ないだろう?もしお互いを知らない場合はちゃんと挨拶をしとけよ、この学園のイベントはクラス単位で動くことが多いし、より大型のイベントなら組単位でも動く…せめて同じクラスの者達とは知り合っておくように。それじゃあこの学園について説明していくぞー」


 割と気軽な感じで担任はホームルームを進めていく。そして学園についてだが、ランキング制度やクラスの降格や上昇、組についてなどを説明された。あとは入学して割とすぐにあるランキングを決めるための個人戦のバトルロワイヤルについてなどなどの説明を受けた。


 そうして入学式の日は終わりを告げた。明日からは授業が始まる…最初の授業は召喚獣と魔法の授業らしい。

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