頼りになる竜

第7話永久中立学園都市:シオン

 あの貴族の象徴とも言えるパーティの日から時が過ぎて、現在2月18日。

 俺とレリアはミレイを連れて永久中立都市であるシオンへと来ていた。


 そう、今年からレリアが通う事になる学園がここにあるのだ。

 シオン学園…それは大陸の中央に位置する学園であり、都市である。永久中立都市と定められており、各国の上位貴族はこの学園に入学するのがほぼ必須と言われているほどの名門校だ。更に平民も加わる為にかなりの人数が在学する学校である。


 基本的に国で組を分けられており、更にそれを実力や地位を参照してクラスに分けられている。

 つまるところ、帝国と王国の在学生が居るとして、それを帝国組と王国組に分ける。

 そして分けた組をさらに実力や地位を元にクラスへと分けていくと言った感じだ。


 国対抗のイベントとかもあるため、かなりに賑わいのある学園であり、そんな学園の入学試験をするために俺たちは此処へと来たのだ。


「凄いですね…見た事のない服装の人たちがいっぱいです」

「これが永久中立都市ですよ、姫様。様々な国の人達が入り乱れる場所ですので」


 レリアは馬車の窓から目を輝かせながら外を見ている。俺も外を見てみるがパッと見だけでも異国感溢れている。


 何処の地域に住んでるのか分からないが踊り子みたいな服を来ている人がいれば、和服の様な感じのも来てる人がいる。

 今挙げたのはかなり目立つ物なのだが、他にも別の国の文化と分かるような服を来た人達が大勢歩いている。


 やはり学園都市だからか総じて若々しい。俺なんて前世の年齢を合わせればもういい大人なのだ…今は竜だが。


 そんな風な事を考えていると、馬車は学園の近くまで来ていたらしい。

 学園の見た目はさながらデカい城だ。流石は各国から学生になるために人が来る場所…ひたすらにデカい。


「姫様、此処からは徒歩になります」

「分かりました…行きましょうか」


 了承の言葉と共に俺を肩に乗せ、レリアは馬車の外へと出る。

 さて、急に馬車から清楚然とした美少女が出て来たとする。しかも周りには各国から集まった受験者達がわんさか居る状態だ。


 するとどうなると思う?


『うっわあの子凄い綺麗…』

『何処の国の子だ?平民ではないのは確かなんだがな』

『ちょっと話しかけてみようかな…』

『おいバカやめろっ!あれは氷竜姫レリア様だぞ…!』

『氷竜姫⁉︎って事はあの方はプリモディア王国の姫君なのか…!』

『あれが大国の姫…流石オーラが違いますね』


 …こうなるのだ。

 この反応を例えるならアレだ、学園物ラブコメラノベで超絶美少女の転校生が来た時に似ている。

 ホームルーム終わった後に男子達が小声で「お前が声かけろよ…」とか言ったりする時と同じだと思う。


 ちなみに氷竜姫と言うのはレリアの二つ名みたいな物だ。美少女で、氷魔法の技量も非常に高く、更には召喚獣が竜であるから付いた二つ名だ。


 確か「竜に愛されし令嬢は氷を従え、踊る様は正に姫君。その姿は氷竜姫と表すに相応しき姫である」…だったか?何処から流れたか知らないが、こんな話が世間に流れた事でレリア=氷竜姫となったのだ。


 この事にレリア自身は「リファルとお揃いだねっ!」って喜んでいた。

 いやまぁ、確かに氷属性の魔法も使えるけども…どっちかって言うと俺は雷竜では?って思ってたりする。更に言うなら水・氷・雷属性を見る感じ雲竜なのでは?とも思ってる。


 レリアは周りのざわめきを全無視してさっさと試験会場へと向かっていく。

 まずは筆記試験の様なので教室へと向かうのであった。

 ミレイさんとは馬車の所で分かれた(俺は常に肩に乗ってるが)


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「時間だ、解答用紙を回収するぞ」


 レリアはペンを置いて俺を撫でる。試験中ずっと俺を肩に乗せていたのだが…肩は痛くならないのだろうか。いくら召喚術で小さくなると同時に重量も軽減されてるとは言えずっと乗せてると疲れるはずなのだが…


 さて、それはさておいてレリアの筆記試験は概ね順調と言った感じだった。所々間違えて書いていたがほぼ確実に故意だ。スラスラと間違えを書いてるし、見直しの時間でも一切直そうとはしていなかった。


「リファル、次は召喚と魔法の試験ですよ。頑張りましょうね」


 解答用紙を回収された後に、実技試験会場へと向かいながらそう言うレリア。

 そう、この試験では召喚獣の試験もある。内容は…知らないが制御出来ていない召喚獣も居る事があるらしく、それを見極める為だそうだ。まぁ召喚獣との意思疎通具合を見たりするのだとは思うが。


 それからしばらく歩いて訓練場へと着く。この学園はデカいだけあってかなり歩かないといけない。人によっては召喚獣に乗って移動する事もあるそうだ…いつかレリアを乗せて歩くのかな、俺も。


「広いですね…流石シオン学園です」


 うん、広い…多分運動場なのだろうが滅茶苦茶広いのだ。見た事もないし正確な数字も覚えてないがいわゆる東京ドーム何個分とか言うレベルでデカい…恐らく大型化する召喚獣でも存分に動くためだろう。俺だって大型化する召喚獣だからありがたい限りだ。


 受験者が到着するまで待ってると、職員らしき人が入って来た。どうやら実技試験が始まるらしい。


「これより実技試験を行う!呼ばれた者は前へ、他の者はそのまま待機する様に!」


 この言葉と共に実技試験が始まるのであった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【シオン学園】

 10歳の貴族子息子女達や、才気あふれる平民が入学するとてつもなく有名な学校。

 大陸の中央に位置しており、何処の国にも所属していない。

 永久中立都市であり、学園が何処かの国に肩入れする事は禁じられている。


 5年制の全寮生であり、順当に行けば15歳で卒業となる。寮と言ってもシオン学園都市内の建物に住むと言う話であり、都市内に屋敷や住宅があるならばそこに住んでも良い。


 なお実力が無い者は退学になったり、ランキング制度あったりと実力主義の面も持ち合わせている学園。


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