第47話 水着披露会

 女性陣は着替えなどいろいろと支度がいるらしいのでプライベートビーチへ先乗りすることに。


「ほぉ、こいつは凄いな」


 海パン姿で降り立ったそこはまさに南国の楽園という表現がピッタリと当てはまる。

 真っ白な砂浜に青い海。

 空にはカモメ(?)が飛び交い、時折吹く潮風が心地よい。


「バカンスだけというのは勿体ないな。ここに住んでもいいくらいだ」

「確かに素晴らしい環境ですね」

「だろう? ――って、えっ?」


 視線を横へずらすと、そこにはいつの間にかルチーナの姿が。


「な、なんでルチーナがここに?」

「? 私は常にレーク様のおそばにいると宣言しましたが?」

「いや、それはそうなんだが……支度はもういいのか?」

「問題ありません」


 いや……問題大アリだろ。

 せっかくのビーチだというのに、ルチーナはいつもと変わらないメイド服に袖を通していたのだ。


「君は水着にならないのか?」

「はい」

「持ってきてはいるのか?」

「一応」

「ならばこれは命令だ。――直ちに着替えろ」

「かしこまりました」


 そう言うと、ルチーナはその場でメイド服を脱ぎ始めた。

 まさかの行動に一瞬動揺したが、実は水着をメイド服の下に着込んでいたことが分かり、残念なような安堵したような、よく分からない感情のため息が漏れる。


 ちなみにその水着だが、たとえるなら競泳タイプか。

 最初はちょっとガックリ来たが、よく見ると肌にピッチりと張りついており……これはこれでなかなか。


「……レーク様? ちょっとルチーナさんの水着を見すぎじゃないですか?」

「ホントに……」

「っ!? コ、コニー!? それにクレアも!?」


 準備を終えたコニーとクレアがいつの間にかすぐ背後にまで迫っていた。

 そんなふたりの格好は……実に良い。


 まずコニー。

 彼女はそのスタイルの良さを全面に押し出すビキニスタイル。

 この場にいる誰よりも大きいサイズの胸がこれでもかと強調されているが……まさか狙ってこのタイプの水着を選んだというのか?

 だとしたら男の心を掴む術を持っている。 

 或いは誰かに仕込まれたか?


 続いてクレア。

 彼女は可愛らしいフリル付きのワンピースタイプ。

 正直、どんな水着を選んでくるか一番読めなかったが……なるほど。そう来たか。


「ふたりともよく似合っている。まるで浜辺に舞い降りた天使だな」

「レ、レーク様……」

「い、いくらなんでもそれは褒めすぎだよ」


 真正面から嘘偽りのない言葉を注ぐと、ふたりは照れまくって露骨に視線をそらす。

 ふふふ、これでこの場は俺が支配したも同然。


 ――と、思いきや、ここでついにラスボスが登場。


「みなさんお早いですわね」


 最後尾から捲ってきたのはトリシア生徒会長だった。


 その水着はコニーと同じビキニタイプだが……布面積が小さすぎやしませんかい?


「す、凄い……」

「だ、大胆……」


 これにはコニーもクレアも目が釘付けとなっていた。

 女性から見ても、トリシア生徒会長のスタイルは視線を外せなくなるほどの破壊力を秘めているってわけか。


 かく言う俺もさっきから視線を動かすことができない。

 こうなってくるともはや引力だ。


「あらあら、そんなにジッと見つめられてはさすがに照れてしまいますわね」


 嘘だ!

 絶対この人は見せつけに来ている!


 現にそんなことを言いつつこちらとの距離を詰めてきているし!


「と、とにかく泳ぎましょう、レーク様!」

「そ、そうね!」

「あっ、ちょ、ちょっと!?」


 会長の行動力に危機感を覚えたのか、コニーとクレアはそれぞれ俺の腕を取り、海へと強制的に移動させられる。


 その際、ガッツリ腕にふたりの胸がめり込んでいるのだが……指摘するのは野暮ってもんだろうな。


 ここは黙ってされるがままでいよう。

 それが健全な男子ってもんだ。

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