呪村I

秋風 宗味座

私達の怪物研究って何?

第1話 この世に純粋があると思うのかい?

 ピッ、ピッ、ピッ、ピピピピ!

「ふわぁ〜。もう朝か。30分とかそこらしか経ってないように感じるよ。」

 う〜ん。眩しい太陽だよ。ほんとね。まぁ、すごい白くて歪んでいるけどね!

「ま、結構時間あるし、パッパッと終わらせて携帯でも弄りますか。」

 私は階段を降りた。朝ごはんが出来ている。お母さんはもう出掛けたの?顔を洗い、冷蔵庫を開けると中身がガラッガラだった。

「おかしいな。昨日、買い物に行っていたのに。」

 私は一抹の不安を抱きながら朝飯を食べ、携帯を弄り、登校した。しかし、登校路を歩いていると違和感が複数あった。まず、一つ目、全ての標識が汚れていて、何も見えない。二つ目、人と誰も会わない。おばちゃんや、畑弄ってるじいちゃんすら、会わないよ。

「気味が悪いな。とっとと行こう。」

 私は謎の焦りを感じ学校へ向かった。

「あ、ぁああ…あぁ…」

 途中で気味が悪い奴に出会ってしまった。それに、明らかに常人じゃない。

「ひっ、来ないで来ないで!来ないでくれー!」

 私は、恐怖でうずくまった。そして、目を開けると学校の席にいた。そこには、いつも通りのクラスメイト、机、飾っている物。ただ、机の上の箱と転校生を除けば…

「皆さん。それは僕からのプレゼントだよ。名は『誘惑と愚鈍の箱』開けると僕が村の物産屋から選んだきたよ。」

「それがこの謎の小瓶か?」

「おいおい、それ。高かったんだぞ〜。安全に使ってくれよ。…そんな事よりさ。僕が全く祝われないのはおかしくないかい?」

「この謎の小瓶を渡して飲んでかつ、祝えと?あまり調子にのるなよ。小僧が。」

「おい、酒井。あのさぁ、少しテンションが上がっているんだよ。気をつけな。」

 私が酒井の怒りを牽制しておく。

「へへ…冗談言ってるだろ?こんな、どこの馬の骨かも分からん奴が持ってきた。変な液体を飲めと?オイラはギャンブラーじゃないんだわ。せめて中身くらいは教えてくれても良いんじゃないか?」

「まぁ、物が物でもなければ特に何も無いはずだ。飲んで説明も良し。口頭で説明も良し。選べ、選択権をやる。」

「てかさ〜。先生が全然来ないのに危機感持った方が良いんじゃない?」

「ちょ、雲母!?空気読んでよ…!」

 皆も色々な事があったのだろう。表では冷静を保っているけど、なんかのきっかけで崩れかねない。

「てか、今日の登校路で変なやつ会ったんだけど…」

「わ、私も!なんか血まみれで…」

「え、血塗れ?私はうめき声を上げてるやつなんだけど?」

 マズイ、マズイ!崩れる!この紙一重で守っていた均衡にヒビが入っている!

「静粛に!…兎にも角にも、皆が言っている様に、本日私も、あからさまに昨日と打って変わった、まるで世界が変わってしまった様な、荒廃した雰囲気だった…だが!今此処で、判断するのもおかしかろう。どうにか、信頼できる情報を…そうだ。学校用タブレットがあるはずだ。それでこの街に何があったか、もしくはこの国には何かあったのか?考えすぎかもしれんが、最悪の予想は常に想定してるものだ。」

 おぉ、緊迫感があるみんなタブレットを取って、調べている。しかしながら、笑いや安心感が全く湧かず、青ざめた表情、絶望の表情、もはや涙をこぼす者。多種多様であるが、それと同じに皆が思っている感情は一つであろう。

「『国民総退避宣言』!?こんなの聞いてない!?聞いてないよ…」

「テレビでもやってないよ?!あ、YouTube動画がある。どれどれ…」

『_____極秘資料 著者:■■博士 制作日時:20■■年8月■■日 崩壊レベル:UN崩壊レベル 本資料で紹介する特異物:邊瓊病(べにびょう) 本物質は細菌類に分類される有機物であり、重さは水素以上の重さではあるがこれに類似する重さの物質は同じく■■■■のみ存在しており、現時点ではこの二つの物質以外に類似の重さの物質は存在していない。初めて本物質が見つかった場所はこのウイルスを主に分布している■■村から数キロ離れた■■県■■市の■■番地の■■氏宅の■■■■氏である。■■■■氏感染後、1時間後、■■家の家族全員が全滅。死因は溺死、圧死、窒息死の3つである。それからまもなく、家が発火、すぐさまにその県は全滅した。その後も、邊瓊病感染者が増え、■■県に該当する地方は全て同じ様な状況に陥った。これを鑑みて国家対策委員会は■■地方を高さ80mを超える高さのバリケードで一時的に囲った。■■地方よりも下の方にある地方はアメリカから来る飛行機に乗り、逃げる事。■■地方よりも上の地方は援助が絶望的な為身の潔白を証明してから国が配置する列車に乗り込み、その後、厳正な判断基準の元、海外への渡航が許される。』

 なんだよ。これ?なんかの悪いジョーク動画だよな?だってこんな病も、こんな事件も聞いちゃいねぇよ。

「ありゃま、殆どの情報が明かされてるね。珍し。」

「どういう事だ?まさか、他にもこんな情報が?」

「あるにはあるが。普段国民が見れることはない。この様な情報が出回るというならばこれは想像の何倍もまずい状況なのだろうな。」

 いやいや!じゃあなんで知ってんだよ!って思うけどそれが今は喉から出ない。

「君たちが生き残ったのは此処にまだ流行ってなかったか、純粋に回避できたか。だがまぁ、これ以上は人を入れてはならないし、君たちも検査が必要だ。だが、その前に、窓を閉め、扉を閉め、鍵をつけろ。カーテンも精神衛生上かけておいたほうがいいな。あと、はい、これどうぞ。」

 そこには大量の資料があった。さっきの動画と類似している内容だな。と思ったんだけど、これ、一つ一つ全然違う。もしや、これほどの化け物達が居るのか?

「これは僕が纏めた『全て』。知るもよし、知らないもよし。それは君達で決めてくれ、僕は特に権利は無いから。あと、液体は飲んだ方がいいよ。全てとは言わないけど、一部の怪物の対策はできる。」


 _____第二話に続く。


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