圭介

「圭介」fourteen

 夏といえど、仕事だ。

 夏休みだからと言って、毎日が休みであるわけじゃない。学生に宿題が出ているように、僕たちにだって夏休み前の後処理、そして夏休み後に向けての準備がある。

 しかも、夏祭りの見回りもしなければならない。僕は新人ながら、というか新人だから、その仕事を任されることになった。

 いやあ全く、全然やりたくないなあ。やれやれ、仕方ない。…①

 と、見栄を張っても仕方がない。ここは心のうちを正直に書いておこう。

 っ!しゃああああああああ!仕事先の分までやっといて良かった!人生って素晴らしい!間違いなく、どちゃどちゃに最高の人生!…②

 これも、誇張している。正確に表すとすれば、①+②/2と言ったところだ。

 まあ、楽しみにしておこう。


「圭介」fifteen

 夏祭りでは、せいぜい教え子に会ったくらいで特に面白いこともなかったため、大幅にカットさせてもらう。


「圭介」sixteen

 夏といえば、もう一つ報告があった。文芸部の、小説を書く生徒たちは、自作の小説をネットの小説投稿サイトにアップしているのだが、その小説投稿サイトにて、高校生限定の小説コンテストが開催された。

 一応オリジナルの作品限定だから、一見、二次創作小説を書く生徒たちは厳しいかに思われた。

 しかし、現実は違った。むしろ、一次創作を主とする生徒たちより納品が早かった。

 その原因として、一次創作を主とする生徒はあまりに拘りすぎるあまり、自分の書いた全ての文章が駄作に思えてしまうらしい。

 夏休みだというのに、夏ゼミの放課後の学校はさわやかじゃなかった。

 それもまた青春。僕はうんうんと頷いて、今日もまた部室を開ける。


「圭介」seventeen

 この日の夜、僕は何か革新的などんでん返しの構想を思いついたのだが、そのまま眠りについてしまい、結局は思い出せなかった。

 思い出せたらその小説を書いてみようと思う。

 まあ、八月はだいたいこんな感じだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る