音街
「
入学式では私が入学生代表となった。案の定緊張はしていない。
「いやあ、やっぱり音街はすごいなあ」
大学生の姉である
「大学行かなくて良いの?」
高校二年生の
「妹の大事な入学式なんだから、立ち会わなきゃダメってもんよ」
「望見、ありがとう」
私がそう言うと、望見はえへへ、と得意げに、そして恥ずかしげに笑った。
「音街」2
一組の担任は端正な顔立ちをした教師だった。どこかおどけた印象を受ける。面倒臭そうでは無く、一つ安心した。この学校は担任が三年間変わらない。ここが一つ大事な分岐点となる。
「これから皆さんの担任になります、
そう決められていたかのように声の揃った「お願いします」が私たちの側から三浦先生に返される。
三浦先生が忙しそうに出て行くと、またクラス内が騒がしくなる。だがその騒がしさは悪いものではなく、私もまた友人と話し始める。
「音街」3
スクールバスの時間は退屈である。移動時間もそれなりに長く、暇つぶしに苦労している。周りの生徒たちもやはり暇を持て余しているようだ。
暗算をし続けるアプリにも段々と飽きてきたが、ナンプレという素晴らしいパズルゲームを入学後にできた友達から教わった。私はスクールバスの窓から見る景色はそっちのけでのめり込んだ。
その友達は、生粋の数学オタクであった。それ以外にも趣味が合った。新生活も悪いことばかりでない。むしろ、良いことしか起きていない。
降りるバス停に到着し、バスを降りる。心なしか、鞄も朝より軽くなったように感じる。
空には珍しく星が見え、我が町が田舎だと強く実感した。イヤホンを外し、ドアノブを握る。
「音街」4
ふと、私は日記を書くことを思いたった。日記、と言うよりも月記だ。月に一度、その月に何があったか書き記す。書き始めてみると意外と進むもので、少しだけ楽しかったりもする。文章に関しては初心者なので、文法や描写に幾つか誤りがあるだろうが、どちらにせよ誰に見せることのものでもない。
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