後編-11-
落下する――そう思った瞬間、かくん、と頭が縦に振られて目が覚めた。目を擦ってからスマホを探す。それは床に乱雑に落ちていたので、持っていたのに自然と手から落としてしまったのか、アラームだけでもセットしておこうとしたのを頓挫してテーブルから弾いてしまったのか、眠りに落ちる直前の行動については曖昧だった。
スマホを拾って時間を見ると、二十三時……一時間ほど寝ていたらしい。もっと長く寝ていた感覚があったんだけど。まぁ、いい。まだ眠たいし完全に目が覚めてしまう前に寝室に行って、ベッドで寝よう。
俺は立ち上がり、スマホを操作しながら寝室へと歩く。
スマホには本日をまとめるように今日のトピックスを知らせるニュースアプリの通知や天気予報、お得なクーポンのメールマガジンなどが溜まっていた。着信履歴などはなく、会社も社会も俺がいなくても無事に回っていることを教えてくれた。だから、スマホの通知は無視してそのまま寝ても良かったけど、なんとなく気になるのでまるで掃除するかのようにスワイプで消していく。一括で消しても構わないのに、一応確認してしまうのはどこかで自分に関わるコンテンツがないか気になっているんだと思う。
寝室のベッドに腰掛けたときには八割ぐらいの通知を消していた。残りも惰性で消していくのだろう、と思ったときだ。
「ダイレクトメールだ」
SNSにダイレクトメールの通知が一件。それをタップすると、アプリが自然と開いて別の世界へと強制的に飛んでいく。送り主は――アイさんだった。
少しだけ、どくん、と心臓が強く鳴った。いや、気にし過ぎだ。そんなわけない。何にも関係ない。
「……何だろ?」
俺は誰かに見られているわけでもないのに冷静さを装ってそのダイレクトメールを開いた。
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