モルディブ ~ 楽園の妄想

スコールは突然にやってくる


大粒の雨が撃ち込まれるたびに

海面は刺立とげだ

海はモノクロームの無情と化した


ビーチへと引き返す私の背中は

おそろしく嵐に晒されていた

けれども

海の中は天国のように平穏だった


天国は高い天上にあるわけではなく

地獄は深い地下にあるわけではなく

背中合わせに存在していた


それは

楽園にだけ自生する

妄想だったのかもしれない


スコールが去った海は

元の色を取り戻し始めていた




https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817139556751341463

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