第10話 女王陛下からの招待状(4)

 すると兄もいつものように、我がノルマルディ伯爵家の跡継ぎは自分が姉として才を受け。私が弟として生を受ければ良かった思うぐらい武が立つと褒め称えてくれる。


「師範とお兄様。こんな私の事を褒めて頂き有難う御座います」


 だから私は今日も褒め称えてくれる二人へとお礼……。


 そう女性として産まれてきた私は二人に褒め称えられても本当の所は嬉しくも何ともないのだ。


 だって私がいくら武が立ち、剣を振るう事が同世代の者達よりも優れていても、それは結婚するまでしか振るう事ができない。


 だって私自身は女性の身だからね……。せめて私が魔力が高ければ、魔法師のメイジになり、軍に入隊する事も可能なのだが。

 私には他人を治癒するような魔法力は使用できない不器用な剣士だから。私は我が国の海軍や陸軍への士官の方はできない。


 だから私の夢である女王陛下の近衛隊へと兄のように仕官、勤務……。ゆくゆくは将校になり、武功をあげることなど夢のまた夢なのである。


 だから我が師や兄が、私の事をいくら褒め称えてくれようが。私の耳には女の身でありながら。妙に剣の腕が立つ私への嫌味としか毎日聞こえてこないぐらいのひねくれ者へと変わってしまっている訳だから。

 私は師匠へと頭を下げ、上げると慌てて屋敷へと戻る生活を毎日退屈におこなっているのだ。


 そんな私へとある日……。


「ほら、レビィア。女王陛下からお前への結婚の話しだ。相手に対してくれぐれも粗相のないように」と。

「我がノルマンディ伯爵家の家名を汚さぬように分ったな、レビィア?」


 私は厳重な父親から有無も言わさず下知を下され、女王陛下からの文を受け取ったのだ。



 ◇◇◇


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